さまざまな車のジャンルのなかでも、日常の足として便利なのが軽自動車やコンパクトカーです。

免許を取って最初の車としてもピッタリのジャンルですが、実際に購入するにあたって「軽かコンパクトか」を迷う人も多いのではないでしょうか。

今回は軽とコンパクトを比較する際のヒントについて、「車のプロ」たちに話を聞きました。

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「将来の売値」を考えると軽一択?

「将来の売値」を考えると軽一択?

「日常使いの手頃な小さい車」なら軽自動車とコンパクトカーどちらを買うべき?“車販売のプロ”の回答が「そうだったのか!」
(画像=©lstudiopure/stock.adobe.com,『MOBY』より 引用)

まずは関東圏内にある中古車ディーラーのスタッフに話を聞いてみます。車を売る立場にある人物からは、一体どんな見解が聞けるのでしょうか。

「コスパの面で考えると、新車で買うなら軽、中古で買って乗り潰すならコンパクトがお得かと思います。軽の新車は一見割高に思えますが、中古市場で人気があるので、後々売るときにかなり高値で引き取ってもらえるんですよね。

とくにN-BOXなどのスーパーハイトワゴンはリセールバリューが高く、条件にもよりますが、現状の相場であれば3年乗っても新車価格の7割くらいのリターンは期待できるイメージです。普通のコンパクトカーだと、やっぱりこのレベルの残価率はちょっと難しいですよね。

もちろん裏を返せば、コンパクトカーは軽に比べると中古相場が低くなりやすいといえます。なので、たとえば3年落ち~5年落ちの中古を買って乗り潰すのであれば、コンパクトのお得感が強くなりますね。

もちろん維持費的には軽の方が安いわけですが、『なるべく車体を安く買いたい』あるいは『性能に対してお得感のある買い物がしたい』というのであれば、中古では軽よりコンパクトがオススメですね」(中古車ディーラースタッフ、勤務歴9年)

車にかかる費用を考えるうえで、「売るときにどれだけ高く売れるか」というのはたしかに重要なポイントです。

中古車の値段は「車のもともとの性能や価格」に加えて「実際の需要量」によって大きく左右されるため、人気のある軽自動車は「売るときに高いけれども、中古で買うときにも高くつく」といった傾向にあるようです。

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よく高速に乗るならコンパクトが有利

よく高速に乗るならコンパクトが有利

「日常使いの手頃な小さい車」なら軽自動車とコンパクトカーどちらを買うべき?“車販売のプロ”の回答が「そうだったのか!」
(画像=©Haru Works/stock.adobe.com,『MOBY』より 引用)

続いては、都内の修理工場で整備士を務める方に話を聞きました。日頃から車の内部構造に触れている整備士は、軽とコンパクトをどのように評価するのでしょう。

「自分が乗るならコンパクトを選びますね。軽の維持費の安さは魅力ですけど、やっぱり車としての性能を考えたときに、総じてコンパクトの方が優れていますから。

軽はパワーの上限が64馬力と定められていますけど、とくに最近の軽は装備が充実するかわりに車体が重くなっているので、そこが走るうえでのネックになるんですよね。燃費は伸びにくいですし、夏場なんかはエアコンにパワーを食われて加速が鈍くなったり。

もちろん近場の買い物や送迎にしか使わないのであれば、それでも十分ではありますが、ちょっとした旅行なんかもカバーしようとすると、物足りない部分は出てくるかなと思います。

あと、軽はパワーに余裕がないので、日常的な使い方でもエンジンの回転数が高くなりやすいんですよね。そのぶんパーツに負荷がかかってきますから、耐久性の面でもコンパクトが有利になると思いますよ」(修理工場整備士、勤務歴11年)

車としての性能や、耐久性の面からコンパクトカーを推奨する意見が提示されました。もちろん一口に整備士といっても考え方はさまざまですから、また違った意見をもっている方もいると思われます。

一方で、これまでのお話をふまえた傾向として、とくに中古で買うのであれば「コンパクトの方が性能に対する割安感がある」という点は指摘できるのかもしれません。

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衝突安全性で比べると…

衝突安全性で比べると…

「日常使いの手頃な小さい車」なら軽自動車とコンパクトカーどちらを買うべき?“車販売のプロ”の回答が「そうだったのか!」
(画像=©︎SOMPOP/stock.adobe.com,『MOBY』より 引用)

最後に話を聞いたのは、関東県内で板金塗装工場を営むオーナーです。20年以上この業界に身を置いているとのことですが、軽とコンパクトの違いをどのように考えているのでしょうか。

「軽の外装に使われる鋼板の薄さを見ていると、ちょっとためらう気持ちはありますね。もちろん、車体の骨格部分は強度が確保されていますし、実際に私自身も足用に軽を使ってはいるんですけど。

ただやっぱり、ドアやルーフなんかのアウターパネルはコンパクトと比べても薄い車がほとんどなので、気になるといえば気になりますよね。まぁ実際、わずかな違いではありますが。

あとは対応している衝突安全性基準も、軽とコンパクトは違ったりするじゃないですか。軽は日本独自の規格ですから、衝突安全性も基本的に国内の基準だけに合わせています。一方のコンパクトカーは、多くの車種が海外展開もされているので、欧米の基準も念頭に置いて作られていますよね。

もちろん軽のなかにも、メーカーが独自の基準で安全性を高めている車種はありますし、実際に事故に遭った際『軽だと助からず、コンパクトなら助かる』というケースはそうそうないとは思いますが……それでも予算的に可能なら、強度の高い車を選ぶに越したことはないのかな、と」(板金塗装工場オーナー、勤務歴23年)

こちらのお話にもあるように、国内外には自動車の安全性を評価するさまざまな試験があります。

日本においては国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構が実施する「自動車アセスメント(JNCAP)」が知られていますが、ヨーロッパにおいてはEuro NCAP、アメリカ合衆国においてはUS NCAPや米国道路安全保険協会の実施するIIHSなど、それぞれの道路事情を考慮したうえで異なる試験方法が採用されています。

「どれが一番厳しい基準か」は一概にはいえないものの、一般に「多数の地域で展開されている車種は、それだけさまざまな安全性試験への適合が求められる」という傾向は指摘できるかもしれません。

そのような点をふまえると、海外展開の多いコンパクトカーの方が、安全性について「安心できる材料が多い」という考え方もあるでしょう。

このように、利便性やコスト以外にも、「軽かコンパクトか」を選ぶ際の観点はさまざまです。購入の際は生活環境や用途などをふまえ、「何を優先するか」をしっかり見定めておきたいですね。

文・MOBY編集部/提供元・MOBY

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