医療保険も3本立てになった。

定額保険は強制加入で、保険者は民間の保険会社。被保険者は定額保険料を払う。 所得比例保険は任意加入で、保険料は企業が払う。 民間医療保険の対象は歯科、義眼・義足、理学療法などの医療サービス。

財源は定額保険料が38%、所得比例が50%、国庫補助は6%、自己負担は7%である。リスク調整は所得比例保険料でおこなわれ、政府が企業から徴収した保険料を健康保険基金に移転する。自営業者の保険料は軽減され、一定の所得以下の場合は国が定額保険料を負担する。

医療保険も「2階建て」にして民間参入

日本でここまで根本的な改革は困難だが、医療を年金と同じく2階建てにし、生命にかかわらない医療サービスは民間保険の対象とする考え方は参考になる。豊かな人が自由診療で医療を受ければ、医療は成長産業になる。

要するに健康保険料の負担を減らす上で重要なのは、河野氏も指摘するように後期支援金と前期調整額の廃止であり、それに必要な財源としては

窓口負担を一律3割とする 高齢者の保険料を引き上げる 消費税を増税する 社会保険料と所得税・住民税を一元化して増税する

などが考えられる。どれか一つで10兆円の財源をまかなうのは政治的に無理なので、この組み合わせを考えるのが政治家の仕事である。過渡的には、将来の増税を担保にして国債を発行してもよい。

大事なことは財源の辻褄を合わせることではなく、受益と負担の関係を明確にし、9割引による過剰医療を食い止めることだ。これは世代間のゼロサムゲームなので、個別利害を超えた議論が必要である。