残念ながら今、終身雇用は社員の方から「そんなコミットできない」という時代になりました。会社の業績がぐいぐい伸びるのはごく一時期であったり、限られた会社であったりします。突然、車内放送で「ピンポンパーン、お知らせいたします。…」なんてやっているコテコテの会社はないでしょう。そんなのは会社のIRをウェブで見てくれと言わんばかりです。ですが、社員がIRを見ることはほとんどないのです。だから灯台下暗し。以前、ある大手製薬会社に勤めている方に「オタクの会社、〇〇の研究で将来有望なんですってね」と述べたら「えー、そんなの私知りませんよ。どこで聞きましたか?お詳しいのですね」というレベルです。

やりがいと給与水準への不満。これはある意味主観的であり、また日本的思考であるとも言えます。

海外から見る日本の会社運営の基本的には外国同様トップダウンです。ただし、欧米でいうトップダウンとはやや違い、「役員会や常務会、執行部など上層部が決めた会社方針」を下部組織に浸透させることであります。欧米でトップダウンといえば明白に社長/CEOの指示のことを指しますが、日本では〇〇会議での決定によるものであり、それは民主主義的多数決で決定されたわけであり、必ずしも社長が主導したとは限りません。サラリーマンの典型的な飲み屋の会話は「今度の方針、あれ何なのかね?」「しょうがないだろう、上が決めたことだ」という「上」は特定の人物というより会社という組織体の天の声のようなものではないでしょうか?

これはやらされ感が管理職を含め、社内全体に蔓延してしまうのです。現場の声は反映されず、社員は受動的立ち位置になってしまうのです。これではやる気は起きないですよね。そこでこの逆手で業績を伸ばしたのがパンパシフィックインターナショナル、誰も知らないと思いますが、ドン・キホーテといえばどうでしょうか?

このドンキ、小売りではイオン、ユニクロ、セブンに次いで国内第4位なのですが、その理由は現場の自由度がめちゃくちゃ高いのです。ドンキのスタッフを見たらわかるでしょう。様々な個性をこれでもか、と生かしています。もちろん、仕入れなどの自由度も高く、バイトから社員まで一体感を作っています。