7~8月にパリオリンピック(五輪)が開催され、現在はパリパラリンピックが開催中だが、民放テレビ各局は多額の放映権料を負担して赤字となるにもかかわらず、わずか数日しか競技の生中継ができず、五輪放送が重い荷物となっている。また、NHKと民放連で構成するジャパンコンソーシアムが支払う五輪放送権料1100億円(2018~24年の4大会)のうち、7割を負担するNHKにとっても、1年換算で100億円強の支出となり、今後は受信料を支払う国民からの反発も予想される。

 次世代メディア研究所代表の鈴木祐司氏は、黒字化のカギは1社による放映権独占にあると指摘する。現在の五輪放送の問題点、そしてマネタイズ成功の方法について鈴木氏に解説してもらう。

従来とは異なる方式を検討すべき時期に

 パリ2024パラリンピックが始まった。しかし、残念ながら五輪と異なり、テレビの生中継はほとんどない。不満に思う人は少なくないだろうが、実はパリ五輪でも日本人が出場する競技で生中継がないものもあった。また、サッカー、バスケットボール、テニスなどの日本人が出場しない名勝負でも生中継がないものもあった。インターネット配信はNHKプラスとTVerに分かれ、使い勝手は決して良くない。

 放送したテレビ局にどれだけメリットがあったかのといえば、かなり怪しい。どうやら五輪の放送は、従来とは異なる方式を検討すべき時期にきているのではないだろうか。