本日はコメ不足問題について、維新としても農水部会を開催して農水省よりヒアリングを行いました。

まず、今回のコメ不足の主な原因について整理します。

2023年の猛暑と高温による不作、パンや麺の価格高騰による米の需要増加、南海トラフ地震の臨時情報による買い占め、さらにはインバウンド効果による消費増加が挙げられます。

このような複合的な要因が重なり、一時的に市場でのコメ供給が滞っている状況です。

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農水省の説明によると、現在のコメ不足は絶対量の問題ではなく、一時的な需給のミスマッチが原因です。具体的には、物流の乱れや地域ごとの需要変動が影響しているとのことです。

このため、政府は備蓄米の放出を行わない方針を示しています(放出を行い、市場価格が崩れる=農家が嫌がることへの配慮がある)。

農水省は、まもなく市場の品薄は正常化に向かう見込みとしていますが、地域差が生じる可能性があるため、特に都市部では回復が遅れることが懸念されています。

確かに、備蓄米は絶対量が不足する「非常時」に備えるためのものであり、簡単に市場に放出することは慎重になるべきという考え方も理解はできます。

しかしながら、今回のように一時的な需給ギャップが生じた際に、迅速に対応できる新たな仕組み・備蓄米放出のシステムを準備しておくことも必要ではないでしょうか。

例えば、地域ごとの需給状況をリアルタイムで監視し、特定の地域で急激な需要増が確認された場合には、基準を設けて迅速に備蓄米を放出する仕組みなどが考えられます。

また、農水省は卸売業者に対して流通の円滑化を求めていますが、これも短期的な解決策に過ぎません。

長期的には、物流インフラの強化や効率化を図るための施策が必要であり、デジタル技術を活用した物流管理システムの導入などが考えられます。

現在の民間在庫は156万トンで、適正在庫200万トンに対しては不足しています。ただ、1993年のタイ米が出回ったときの在庫が20万トンだったことを考えると、状況はまだ深刻ではないと言えます。