フリードの「ちょうどいい」感覚は世界共通の美点な気がする
発売から1カ月で3万8000台を受注し、好調なスタートを切った新型ホンダ・フリードは、家族向けの高い実用性を持ちながら、都市向けのAIR(エアー)と、アウトドア志向のCROSSTAR(クロスター)の2シリーズを展開している。このクルマは現在、日本国内でのみ販売されているが、国外からも注目を集めている。
新型フリードに対する海外での評価は高い。自動車専門メディア「Motor1」では、コンパクトなボディに3列シート、全輪駆動、そしてハイブリッド(e:HEV)パワートレインを巧みに組み合わせた点が評価されている。ファミリーカーでありながら、実用性と環境への配慮を両立させた性能は、「燃費の悪い大型SUVはもはや必要ない」と称賛されている。また、フリードにはハンディキャップを持つ人が乗り降りしやすいように、電動リフトアップシートやスロープ仕様が搭載されており、その利便性の高さも高く評価されている。
メディア「Carscoops」は、洗練された親しみやすい外観と、CROSSTARモデルに採用された独自のグリル、バンパー、プラスチック製フェンダーエクステンション、アルミホイールなどによるSUV風の頼もしい外観を高く評価している。また、インテリアの使いやすさや、より大きなインフォテインメントディスプレイにも注目しており、全体的に実用性とスタイルの両立が評価ポイントとして挙げられている。
実際に一般ユーザーの意見はどうだろうか。アメリカの掲示板「Reddit」では、「まるで小型オデッセイのようだ」「燃費が良くて価格が手ごろなら、ぜひアメリカに導入してほしい。フリードという名前は少し変だが、きっとすぐに慣れる」「オデッセイの代わりに買いたかった。ニューヨークでは駐車スペースを見つけるのが難しいから、短い車体のほうがずっと便利だ」というコメントが並ぶ。とくに都市部での取り回しのよさに評価が高い。私自身、昨年アメリカをクルマで横断した際、ニューヨークの道の狭さや、車間距離のなさに驚かされた。トンネル内には両脇にポールがあり「ぶつかる!」と肝を冷やしたことも何度もあった。そんな狭い道を、アメリカで人気の大型のピックアップトラックが走り抜ける様子には感心させられたが、確かにフリードなら怖くない。
その一方で、「僕の身長が190.5cmだから、実際に座ってフィットするか確認したい」という高身長のユーザーからの声もある。縦にも広い居住空間だから高身長の人でも過ごしやすいと思われるが、数字上はスモールサイズなので、実際のキャビンの広さを想像できない人もいるのだろう。これはぜひ乗って見てほしいものである。
もしフリードの海外進出が決まった場合、いくつかの変更があるだろう。たとえば、ドリンクホルダーのデザインは丸型になる。これは、海外では四角い形をした飲み物がほとんど販売されていないためだ。ちなみに、日本限定のトヨタ・シエンタも四角いドリンクホルダーを採用しているが、新型クラウンは輸出を意識した設計であるため、ドリンクホルダーは丸型だ。
新型フリードは、そのコンパクトさと実用性、そしてデザイン性により、海外市場でも成功を収めることが予想される。とくにファミリー向けのミニバンとして、その魅力は計り知れない。海外でも販売するワールドカーになる日が楽しみである。
[プロフィール]
井口華音(いぐちかのん)/1993年生まれ。石川県出身。動画クリエイター。高校生の時にニュージーランドへ留学、高校卒業後アメリカの大学に進学。その後イギリスを拠点に海外情報や英語学習のノウハウを発言するYouTubeを開設。37万人近いチャンネル登録者数を誇る人気YouTuber。もともとクルマ好きであることから自動車のYouTubeチャンネルも併設し、英語も通訳もできる「喋れる」自動車ジャーナリストを目指して活動中
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提供元・CAR and DRIVER
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