樹液が固まって化石化した琥珀(コハク)は、古生物学者にとってのタイムカプセルです。

普通の化石では軟部組織が分解されて残りませんが、琥珀は太古の昔の昆虫や植物を生きた姿のまま保存してくれます。

映画『ジュラシック・パーク』でも、物語の鍵となったのは琥珀に保存された蚊の血液でした。

そんな琥珀に関する面白い発見が2016年にありました。

ミャンマーの市場で売りに出されていた琥珀のアクセサリー。植物の入った琥珀として売られていましたが、市場を訪れた研究者がこれを購入して調べたところ「恐竜の尻尾」だと判明したのです。

確かに羽毛のようにも見えますが、これは一体どんな恐竜の尻尾だったのでしょうか?

目次

  • 「植物の化石」として売られていた琥珀のアクセサリー
  • 正体は羽毛恐竜「コエルロサウルス」の子供!
  • 尻尾の羽毛は「飾り羽」だった?

「植物の化石」として売られていた琥珀のアクセサリー

この奇妙な物語は2015年に遡ります。

中国地質大学(GUC)の古生物学者であるシン・リダ(Xing Lida)氏は、ミャンマー北部・カチン州のミッチーナーで開かれていた琥珀市場を訪れていました。

琥珀は昆虫や植物など太古の生物を保存していることがよくあったからです。

そんな中、リダ氏はずらりと並んだ琥珀の中に一風変わった琥珀を偶然に見つけました。

中に茶色い繊維状のものが保存されていたのです。

「植物の化石」が保存されたものとして売られていた琥珀
「植物の化石」が保存されたものとして売られていた琥珀 / Credit: Royal Saskatchewan Museum (RSM/ R.C. McKellar)

売り主に「これは何か?」と聞いてみると、「植物の一種が保存されていて、アクセサリーとして売りに出している」と答えたといいます。

古生物の専門家ではない売り主にはどうやら植物に見えたようですが、リダ氏からすると明らかに植物ではありませんでした。

むしろ、鳥の羽毛に似た何かに見えたのです。