具のあれこれ
チリ人が好きだからといって、クリームチーズやアボカドを具にするのは誰でもできます。日本らしい味付けで、チリ人にも受けいれてもらえるものを考えなければなりません。
さらに原価が安くて、簡単に手に入るもの、と頭をひねり試行錯誤のうえ、定番のおにぎりになったのは、人気のある順に、
- ピーナッツ味噌(手作りの味噌とピーナツバターを混ぜたもの)
- ナスとマッシュルーム、赤ピーマンの味噌炒め
- ツナ缶と、セロリの辛みそ炒め
おこわにシソの塩漬けを入れたもの です。
種類の違うおにぎりを分けてタッパーに入れています。
これらのおにぎりを渡す時に海苔をつけます。味噌味が多いのは、私が味噌を生産していて、日本が誇る健康食「味噌」を広めたいからです。
また4種類のうち3種類はいつもビーガン(動物性のものを一切使わない)にしています。というのも、今、チリの若い人の間では動物愛護や健康食という視点からビーガンやベジタリアンとして肉を食べない主義が流行っていて、いつもおにぎりを買ってくれる人のうち半分くらいが肉を食べないからです。
健康志向の人向きに手作りの梅干しと玄米ご飯おにぎりも売ってみましたが、反応はいまいち。鮭やマヨネーズだとビーガンの人は買ってくれないので作れません。
いつも同じ具だと飽きるので、たまに高菜漬けみたいな漬物をゴマ油で炒めたものや、ダシを取り終わったシイタケを醤油で煮たものなども作っています。
大人気!おにぎりのたれ
日本人の感覚では「おにぎりにタレ??」ですよね。私もこれを導入することに抵抗しましたが、あまりにもおにぎりを買ってくれた人に「タレはないの?」と聞かれるので、泣く泣く導入することにしました。
というのも、SUSHIには醤油やあまじょっぱい中国料理のタマリンドソースのようなものをつけて食べるのが普通で、チリ人は味の濃いものが大好きだからです。
ただ醤油をつけるのもつまらないので、おにぎりのたれとしてネギ醤油、人参醤油を置いたら、売り上げが倍増!今や私のおにぎりはタレなしでは売れません。
ネギまたは人参を細かくしたものを醤油に入れてごま油と数滴たらしただけ、というシンプルなものですが、みんなこれが大のお気に入りで、リピーターこそ、このたれをおにぎりにつけて食べています。
どうも、チリの人たちは醤油のしょっぱさを「しょっぱい」とは感じないらしく、あまりにも多くたれをかけるので、おにぎりのご飯に塩を入れるのはやめました。
そもそもSUSHIが人気なのは「みんな醤油が大好きで、それを思いっきりつけて食べられるからではないか」と言う人もいるくらい。「そんなにタレをかけたら具の味なんてわからないじゃん!」と内心思いながら、お客さんがおにぎりを美味しそうに頬張るのを見ています。
日本のふんわりとしたおにぎりとは随分違いますが、チリにはチリの事情あり。さまざまな工夫とInstagramでの集客のおかげで、ありがたいことにお客さんが増え、今や毎週100個以上のおにぎりが売れるようになりました。
本業の日本語を教える仕事を失ってしまったので(泣)、今後はますます工夫を重ねて、チリ人に愛されるおにぎりを売っていきたいと思います。
文・写真・IZUKAWAUSO/提供元・たびこふれ
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