ただこのときの画像は波長1.3ミリの周波数230GHz(ギガヘルツ)で観測されたもので、まだまだ解像度が低く、実際の姿よりもぼんやりと写されていました。

例えるなら、視力が低いので、対象物がぼや〜と広がって見えているようなものです。

研究者によると、EHTの解像度をさらにアップさせるには2つの方法しかないといいます。

1つは「望遠鏡のサイズ自体を大きくすること」です。

しかしEHTはすでに地球サイズに達しており、人間の力で地球を大きくすることは無理なので、この案は現実的でありません。

そこでもう1つの「周波数を高くすること」が最良の選択肢となります。

研究主任の一人で、NASA-JPLの天体物理学者アレクサンダー・レイモンド(Alexander Raymond)氏は「波長0.87ミリの周波数345GHzで観測すれば、画像はより鮮明なものとなり、これまでの観測では見られなかったブラックホールの構造が明らかにできるでしょう」と話します。

チームはEHTでこのレベルの観測が可能かどうかをテストしました。

ブラックホール観測のシミュレーション画像を公開!

しかし周波数345GHzの電波を捉えるには、技術的に困難な側面もありました。

というのも345GHzの電波は大気中の水蒸気による吸収が以前までの230GHzの電波よりも強く、地上からの観測を困難にするからです。

そこでチームはEHT装置の帯域幅を増加させ(簡単に言えば、通信速度を速めること)、さらに地上の全観測地点での好天を待つことで、この難点を解決しました。

その結果、345GHzの周波数で遠方銀河の中心からの電波信号を検出することに成功し、地上から観測されたものとしては過去最高の解像度を達成できたとのことです。

今回は何らかの対象を観測したわけではないので、具体的な画像はありません。

しかし研究者らは、もし345GHzの周波数でブラックホールを撮影した場合のシミュレーション画像を作成しています。