ジャパニーズ・ホラーというジャンルに風穴を開け、新たな映像作家を発掘・支援する目的で設立された「日本ホラー映画大賞」で初めて大賞を受賞した下津優太監督の商業監督デビュー作「みなに幸あれ」が公開中だ。
本作で総合プロデュースを務めたのは、日本ホラー映画界の巨匠・清水崇。すでに本作は、プチョン国際ファンタスティック映画祭でメリエス国際映画祭連盟(MIFF)アジアンワード・ベストアジアフィルム(最優秀アジア映画賞)を受賞し、世界的にも注目を集めているのである。
SNSでの評判では「怖すぎる」「生理的嫌悪感フェチにオススメ」「黒すぎる」「得体がしれない」など、想像以上の恐怖を味わったことを表現する声が散見される。特に、「生理的嫌悪感がやばい」という感想が多い印象だ。一体どんな監督が撮ったのだろうか。映画制作の意図も含めてメールでインタビューした。
・映画を作ったきっかけは?
下津優太監督(以下、下津)新たなホラー映画作家を発掘・支援するために、KADOKAWA主催のもとで2021年にスタートした「日本ホラー映画大賞」の第1回目にて大賞を受賞し、その副賞として長編映画を初めて監督することとなりました。受賞した11分ほどの短編映画「みなに幸あれ」をスケールアップし、長編映画を制作しました。都市伝説で「地球上感情保存の法則」というものがあり、それは地球上に住む人の幸せと不幸の総量はゼロとなるというもので、もしこれが事実であれば、意図的に不幸な人を作り出せば、自分たちの幸せが得ることができる、というテーマのもと制作していきました。
・本作のテーマは「幸」。下津監督にとっての「幸せ」の定義を教えてください
下津 映画を制作している約2年間、幸せについて考え続けていました。今の時点で自分としては、3点にまとまりました。1つ目は好きな映画の台詞なのですが、「幸せに生きるコツはシンプルだ。愛する人に愛を伝え、自分に正直に生きること」これをかなり指針にしています。2つ目は「今日は風が気持ちいいな、空が綺麗だな」と、日常の幸せを感じる心を養うこと。3つ目は劇中の台詞にも出てきますが、自分の幸せの物差しを持つこと。SNSの発達により他人の目が自分の幸せへの物差しになっていることが多いと感じます。
・誰かの不幸の上に、誰かの幸せは成り立っているという根源的な法則から目を背けないことが、この映画のテーマであると感じました。ほかにも、因果応報など、監督が信じているこの世界の法則は何かありますでしょうか?
下津 この映画の裏テーマは「現実を受け入れ、理想を描き続けること」です。表テーマである「誰かの不幸の上に、誰かの幸せは成り立っている」という事実を知った時、その事実から目を背けず、きちんと現実を受け入れて理想を描き続けることができるか? 孫の最後の表情が、理想を捨てていなければ、自分としてはバッドエンドの映画ではないと考えています。
他に、個人的に気になる世界の法則としては「この世は仮想現実」というものです。笑。多くの物理学者も、この世が仮想現実ではないということを証明することの方が難しいと言っていたり、あのイーロンマスクも99%この世は仮想現実と提唱しています。
・この映画は最も誰にみてもらいたいですか?
下津 自分も含めてですが、平和ボケした日本人というか、現実を知ろうともしない人たちに見てもらい、頭をガツンと叩かれた気持ちになっていただきたいです。本当に自分も含めてなのですが、目を覚まして欲しい。
【作品情報】
作品タイトル:『みなに幸あれ』
主演:古川琴音
出演:松大航也 犬山良子 西田優史 吉村志保 橋本和雄 野瀬恵子 有福正志
原案・監督:下津優太 総合プロデュース:清水崇 脚本:角田ルミ 音楽:香田悠真
主題歌:「Endless Etude (BEST WISHES TO ALL ver.)」 Base Ball Bear
製作:菊池剛 五十嵐淳之 企画:工藤大丈 プロデューサー:小林剛 中林千賀子 下田桃子
助監督:毛利安孝 川松尚良 統括:古賀芳彦 撮影:岩渕隆斗 照明:中嶋裕人 録音:紙谷英司 美術:松本慎 太朗 スタイリスト:上野圭助 メイク:木戸友子 CG:橘剛史 宣伝プロデューサー:小嶋恵理
製作:KADOKAWA ムービーウォーカー PEEK A BOO 制作プロダクション:ブースタープロジェクト 配給:KADOKAWA ©2023「みなに幸あれ」製作委員会
2023/日本/89 分/5.1ch/ビスタ/カラー
X @Minasachi_movie
【国際映画祭 出品情報】
第56回 シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭 コンペティション部門出品 第27回 プチョン国際ファンタスティック映画祭 最優秀アジア映画賞第23回 TOホラー ファンタスティック・フィルムフェスティバル 審査員特別賞
第24回 モンスターズ タラント・ホラー・フィルムフェスティバル 最優秀監督賞
第25回 上海国際映画祭 公式上映
第14回 スラッシュ フィルムフェスティバル 公式上映
第16回 ジャパン・カッツ 公式上映
第16回 レイザー・リール・フランダース映画祭 コンペティション部門出品
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提供元・TOCANA
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