宇宙意識と結びついた指導者となるための少数民族のスピリチュアルな帝王学とは――。リーダーになるべく選ばれた子供は9歳まで洞窟の暗闇の中で育てられるという。
■9歳までは洞窟の暗闇の中で英才教育
コロンビア北部の孤立した山脈、シエラ・ネバダ・デ・サンタ・マルタのジャングルの奥深くに、コギ族として知られる部族が住んでいる。彼らの文化はコロンビア建国以前にさかのぼり、何百年もの間孤立した生活を送っている。
コギ族は自然と特別なつながりを持っており、彼らは自分たちが存在する目的は自分たちのことだけではなく、世界全体に配慮することであると信じている。
部族のライフスタイルは、彼らが「アルナ(Aluna)」と呼ぶ「偉大なる母」への信仰に基づいている。アルナは自然を生み出した創造主である。
コギ族は地球を生き物として理解し、人類をその「子供」とみなしている。彼らは搾取、荒廃、資源の略奪という我々の生産活動が「偉大な母」を弱体化させ、我々を破滅に導くと警鐘を鳴らしている。
一帯の先住民部族と同様、コギ族は「ゴナウィンドゥア」、別名ピコ・クリストバル・コロンと呼ばれる聖なる山を崇めている。彼らはこの山が「世界の中心」であり、自分たちはそれを世話する「兄たち」であると認識し、一方で外側の文明ははるか昔に世界の中心から送り出された「弟たち」であると定義している。
部族の司祭は太陽を意味する「マモ(mamos)」と呼ばれ、その一方でヒーラーは「クランデロ(Curanderos)」と呼ばれている。部族に生まれたすべての者は、占いのプロセスを通じて生まれた時にその役割が決められる。
そして将来のマモとなるべく選ばれた子供は、いわばエリートとして育てられることになるのだが、なんとその子供は9歳になるまで日光を見ることが許されず、洞窟の中で過ごすことが課せられるというのである。
親ではなくマモが洞窟の中でこの子供を育てるのだが、実の母親は授乳のために暗い洞窟に入ることが許可されている。コギ族にとって、この洞窟はアルナの子宮を意味しており、つまり9歳までは「偉大なる母」の胎児として過ごすことになるのだ。洞窟の中でマモは子供たちに物語を語り、アルナの存在を感じてもらうことを主眼に将来のリーダーとなる子供を育てるのである。
時にはアルナをよりよく感じ取るために、乳児の段階に夜に外に連れ出すこともありるという。ただしその時も子供には目隠しがさせられる。そうして子供が成長すると、部族のリーダーの一人であるマモになるのだ。