日本にもピラミッドが存在するという説や研究は、1930年代からすでに存在していた。以来、秋田県の黒又山や長野県の皆神山など日本各地でピラミッドではないかと思われる山がいくつも指摘されているが、その始まりは広島県の葦嶽山(あしたけやま)であった。

 庄原市本村町に位置する標高815メートルの葦嶽山は、1932年、酒井勝軍(かつとき)というキリスト教伝道者・オカルティストによって日本のピラミッドであると言われた最初のものとなった。酒井は、1927年に中東パレスチナに調査派遣で赴いて以降ピラミッドの研究に没頭するようになり、その後『竹内文書』に記された天津教竹内家神宝の一つ「日来神宮」(ひらみと)がピラミッドの暗示だと推測し、ピラミッドのルーツは日本にあるという「日本ピラミッド発祥」説を唱えるに至った。

 ピラミッドと言えば、エジプトのような大量の石を人工的に組み合わせた建造物であるというイメージが強いが、酒井が唱えた定義によればそれは石組みである必要がなく、自然の地形をベースとしてその一部に石積みなどが施されていれば良しとしているという。

 実際、葦嶽山はその山の見た目がなだらかできれいな二等辺三角形の形をなしたまさにピラミッドのような見た目をしており、また中腹から山頂にかけて人工的に配置されたと思われる巨石が多く見られている。酒井は研究を通して幾度か講演会を行なっていたところ、とある元代議士の人物から、地元民ですらほとんど詳しくは知らないものの巨石群が存在している山があるという話を耳にし、それこそが葦嶽山を知るきっかけになったのだという。

 葦嶽山を2万3000年前に造られた世界最古のピラミッドであるとする彼の主張は、大々的に新聞でも報じられたことで多くの見物客が押し寄せるようにもなっていったという。なお、葦嶽山の隣山である鬼叫山は、一説に神武天皇の御陵ではないかとの噂もかねてより囁かれており、神武岩と呼ばれる石の下に神武天皇の財宝が眠っているのではないかという伝説もあって多くの人々が掘り返そうとしたのだという。

世界最古のピラミッドは日本にあった?!広島県「葦嶽山」の不思議な巨石群
(画像=イメージ画像 Created with DALL·E、『TOCANA』より 引用)

 また同時に、鬼叫山には神武岩のほかドルメン(供物台)と呼ばれるような巨石なども存在しており、それらからちょうどよく背景に葦嶽山を拝する構造になっていることから、鬼叫山が拝殿、葦嶽山が本殿なのではないかとも言われているという。

 なお、酒井によると、葦嶽山の山頂には「太陽石」と呼ばれるものがあったという。そもそも、彼はピラミッドを古代テクノロジーによるエネルギー装置であるとの考えを持っており、太陽石は、いわば御神体のようなものであり、かつそのようなエネルギーの集積装置としての役割を果たしていたというのである。

 だが、昭和も一桁の時代、いわば日本ピラミッド論は邪教の類として扱われ、葦嶽山にあった太陽石をはじめとしてそれを囲んでいた列石などは、官憲によって破壊や撤去をされてしまったのだという。太陽石は谷底に投げ落とされたと言われ、今ではこれらを確認することが出来なくなってしまっている。それ以後、葦嶽山ピラミッド説の検証は殆ど留まった状態が続いている。

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文=ナオキ・コムロ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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提供元・TOCANA

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