第二に、公共契約を通じて事業が実施されるのであれば、その手続きは公正になされなければならない、ということである。国見町のケースは「入札」という言葉も報告書では用いられているが、公募型プロポーザルということなので法形式上は随意契約になるだろう。

いずれにしてもその手続きが情報の漏洩、恣意的な仕様設定や競争参加条件の設定など、競争を歪める形でなされているのであれば法的に問題になる。自治体が直接締結している契約なのであれば、刑法上の公契約関係競売入札妨害罪、あるいは官製談合防止法違反に問われかねない。随意契約であっても契約者選定過程に競争的要素があるのであればこれらの法律は適用され得る(筆者が本サイトに寄稿した「随意契約でも入札妨害?」参照)。

ただ特命随意契約が結ばれた場合には、その射程外に置かれてしまう。事業計画の前に締結された業務提携等を理由に「供給源の唯一性」を理由とした随意契約の判断がなされるかもしれない。そういった「出来レース」のケースには注意が必要である。

このような問題が生じるのは、企業版ふるさと納税制度においては、寄付者である業者と自治体の両方にとって「お金が増える」というインセンティブが発生するからである。自治体からすれば仮に寄付金が寄付者に還元されたとしてもトータルでは構わない。業者からすれば寄附制度を利用した以上のメリットがある。ただポイントは還元が実現する(確実にする)手続上のコミットメントである。それが契約者選定の公正さを害する形で行われ得る点が、問題なのである。

寄付金も公金である。寄付業者に対して自治体が補助金を支給するような見返りを禁止しているが、公共契約の受注者になることは禁止されていない。ただ、契約を通じる以上、地方自治法の手続きに則さなければならない。競争を歪めればその手続きに反することになる。

一連の事業展開や発注業務に関わった関係者は不正の存在を否定している。今後、この問題がどのような展開を見せるのか、注目したい。