オンラインで中古品や古着、ヴィンテージ品などを取引するならば主な手段となるのが「フリマアプリ」と「ネットオークション」。この両者には年代層によって、利用率に差があります。具体的にはZ世代がフリマアプリを好み、50代以降の世代はYahoo!オークションの方を好む傾向。なぜ年代で差が出るのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
メルカリとYahoo!オークションの利用率について
まずフリマアプリとネットオークションは、どちらも「個人間取引(CtoC)」に位置付けられます。その代表格が「メルカリ」と「Yahoo!オークション」。この両者の利用率は2018年~2019年頃から顕著に拮抗するようになり「どちらも存在感がある」という状態になりました。
たとえば株式会社ジャストシステムが2019年に発表した『Eコマース&アプリコマース月次定点調査(2019年2月度)』 によると、現在利用中のサービスとして「メルカリ」「Yahoo!オークション(旧ヤフオク!)」を挙げた人は、ともに47.0%(※2019年当時)でした。この時期から両者が肩を並べたと言えます。
メルカリの利用率は10代が67.9%、20代が64.1%、30代が51.4%なのに対し、40代は41.5%、50代が32.1%、60代が21.2%と、年代が上がるにつれどんどん利用率が下がっています。
一方で、Yahoo!オークションについては、10代が25.0%、20代が34.4%、30代が47.3%と低め。若者層ほど、Yahoo!オークションよりもメルカリを選んでいるという結果になりました。
Z世代はYahoo!オークションより「メルカリ」の利用率が高い より最近行われた調査では、メルカリの利用率が逆転している傾向です。株式会社ロイヤリティマーケティングが2021年に行った「フリマアプリに関する調査」では、利用サービスのトップはメルカリ(72%)。2位がYahoo!オークション(旧ヤフオク!)(55%)でした。
同調査によるとメルカリの利用率は20代男性が82%、20代女性が92%なのに対し、Yahoo!オークションの利用率は20代男性が40%、20代女性が17%と、非常に低い数字になっています。Z世代はフリマアプリ、具体的には「メルカリ」を好む傾向が現れています。
50代以降は「Yahoo!オークション」の利用率が高い
一方、同調査によると、メルカリ利用率は40代男性が72%、50代男性が63%、60代以上男性が59%といずれも低め。しかし、Yahoo!オークションに関しては40代男性が62%ですが、50代男性は68%、60代以上男性が69%と、メルカリを上回っています。
「メルカリ」「Yahoo!オークション」の利用率の世代差はどうして大きいの?
「メルカリ」「Yahoo!オークション」の利用者の間に世代差がある理由には、以下の2点が挙げられるでしょう。
・メルカリが元来、スマホアプリからの開発を想定して設計されていたこと
・Yahoo!オークションは日本のネット黎明期から存在しており、50台以上にとってもなじみ深いこと
またフリマアプリに比べ、ネットオークションは落札が決まるまでに時間がかかるケースも多いです(※即決価格での落札の場合)。Z世代の間では、ミニマリスト傾向も一部で見受けられるため「すぐにモノを手放したい」という需要にはフリマアプリの方がマッチしている可能性があるかもしれません。
スマートフォンでの利用が長らく前提だった「メルカリ」
メルカリは2013年にアプリがリリースされ、長らくアプリからのみ購入可能なフリマアプリでした。2016年にブラウザからも購入可能になりましたが、やはり「スマホ向け」という印象が強く、上の世代からすると「ヤフオクで十分」という印象を抱かれた可能性はあります。
1999年にスタートし、日本のネット文化に深く根付いている「Yahoo!オークション」
Yahoo!オークションが日本でサービス開始されたのは1999年。ちょうど日本におけるネット黎明期にあたり、それまで実店舗でしか中古品の売買ができなかった当時の方にとっては「圧倒的に便利なネットオークションだった」と言えるでしょう。「不要なモノや希少品はヤフオクで売る」「もう手に入れられないモノをヤフオクで探す」という習慣が名づいた人は少なくないでしょう。
ヤフオクでの取引に慣れた方にとっては「メルカリに移行する必要性」そのものが薄く、「ヤフオクになじみがないZ世代」と「50代」の間にジェネレーションギャップが生まれる要因になったかもしれません。
若者の「保有しているモノを手放してから新しいモノを買う」購買行動も特徴的
Z世代の間で芽生えている「ミニマリスト志向」も、フリマアプリとネットオークションの利用傾向に関連しているかもしれません。具体的には、Z世代は「自分の持ち物を売ってから欲しいモノを買う」という傾向がやや強いです。
メルカリが2023年に発表した「世代別の消費行動・資産認識」に関する調査結果によると、「保有しているモノを売ってから欲しいモノを購入することがありますか?」という質問に対し、Z世代は46.6%が「よくある」「たまにある」と回答。一方、バブル世代は26.8%に留まっています。
また、最近では「メルカリ読書」という言葉が聞かれることも。
これは本を購入した瞬間に出品し、購入されて発送するまでの間に読み切ってしまうムーブのこと。一度しか読まない美品ならば7割程度の出品価格でも販売可能な上、「読んでいない本が溜まっている状態」にもならないため、若者の間ではメソッド化しているそう。
こうしたムーブからも分かる通り、若者は手元にモノを残さない傾向が強まっており、「落札」に時間がかかるYahoo!オークションよりも、売り買いが即時行われやすいメルカリの方が人気のようです。
売り手が値段を決める「フリマアプリ」 先述した通り、フリマアプリは売る側が値段を決めるのが特徴。そのため、複数の購入者からの入札が生じづらく、モノが即時に売れやすいです。ミニマリスト志向が強いZ世代にとっては「不要なモノをすぐに処分できる」ので使い勝手がよいでしょう。
売り手がそのモノの価値を知らないと、本来もっと高く売れるはずのモノを安く売ってしまうことになりかねません。逆に言えば買い手側には掘り出し物のチャンスが生まれることになります。
買い手が値段を吊り上げる「オークション」:ヴィンテージ品などと相性が良い 一方でネットオークションはフリマアプリとは違い、その商品に価値を感じた買い手側が入札して値段を上げていきます。具体的にはヴィンテージ品や希少性が高いアイテムと相性がよく、高値で取引されるケースも少なくありません。
そのため、経済的に余裕のある大人向きという見方もできるでしょう。システム的に、そもそも「パッとモノを手放して新たなモノを買いたいZ世代向け」というよりは、モノの価値を正確に見極めて取引をしたい「より年代が上の層」にオークションは適していると言えるかもしれません。
もしかしたらフリマアプリをZ世代が愛用するのは「取引単価が低い」からに過ぎず、Z世代も年齢を重ね、高価な取引を行うシーンになるとオークションを活用するのかもしれませんね。フリマアプリとネットオークションの今後の市場の変化にも要注目です。
文・オトナライフ編集部/提供元・オトナライフ
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