2021年、TikTokにてある人物の動画が注目され始めた。その人物は、スペイン人の「ハビエル」と名乗る男性であり、彼は「病院で目を覚ましたら2027年にタイムスリップしてしまった」と自称していた。彼によると、偶然に見つけたある手紙の記述から、彼は自身が「JESP8827実験」というタイムトンネルのようなものの構築実験における”被験者”であったことがわかったのだという。

 未来人を名乗る人物の存在は、これまで多く登場し語られてきた。それらの多くは、予言(西暦何年に何が起こる、これから何が起こるか)を主軸としたものが殆どであるが、ハビエルの場合は全く異なっていた。なんと先の実験の失敗によって、彼は他の人間が誰一人としていないパラレルワールドに閉じ込められてしまったと主張したのだ。

 そんなわけはないだろうと訝しんだ反応を示す大勢の人々に対し、彼は動画撮影によって様々な個所を歩いて回ると、不思議なことに彼の主張通り建物の中を含め屋外までも、他の人間が存在する気配が見られなかったのだ。次第に、視聴した人々から指定した場所へ行くようコメントが寄せられるようになり、商店、病院、警察署、果てはスタジアムに至るまで、様々な場所へ赴く動画を撮影したが、本当に他の人間が映ることはなかった。

 ハビエルの存在が大きな話題となった中で、懐疑的に見る人々からは様々な意見が多く飛び交うようになった。実際、彼の動画撮影やその撮影された風景に対しては不審な点が数多く見受けられるのだ。

 彼は、指示のあった場所の一つである「動物園」に赴いたのだが、動物たちも消えているのかと思うとなんの変哲もなく動物たちは過ごしていたのだ。街中を移した動画の中でも鳥が飛んでいる様子が映っているものもあり、人間だけが存在しないという不自然な状態となっている。

 また、動物園で動物たちが平穏に過ごしているということにもつながるが、ハビエルが赴く先々では普段通り電力が供給されている。電灯が問題なく点いているどころか、商店やスタジアムなどでは電光板も鮮やかに照らされている。人間が存在しない世界で、どうやって電力が供給されているというのか。

 さらに、最も不審な点としてあげられるのは、彼は動画撮影はするものの、ライブ配信を一度たりとも行なっていないことである。公開された映像は全て録画されたものであり、リアルタイムの映像は一つとして撮影されていないのである。

 これらのことから、このハビエルのトリックについていくつも考察がなされた。真っ先に疑われたのは動画の加工であり、編集技術によって道行く人を消してるのではないかというのだ。だが、先にもあげた通り、彼は公共施設にまで足を踏み入れている。そのような場所であれば常勤の人が必ずいても良いはずなのだが、それらの人を加工で消す手間を考えるとあまりにも無謀である。

 有力視されたのは、コロナ禍でのロックダウン時に撮影されたものではないかとするものだ。不要不急の外出は避けるようにとの呼びかけで覚えている人も多いだろうが、こうした人が外出を制限された状況下で撮影したことによって、無人の街の撮影が可能だったのではないかという。ただ、そうだとしても、やはり公共施設にて人が一人もいないというのは奇妙である。

 そこで浮上してきたのが、「町ぐるみの企画」だったのではないかとするものだ。前述したロックダウンにも通じるが、この処置は観光客の激減にもつながり、経済的にも大きな損失にもなっていた。そこで街が映画会社などと共同して、他の誰もいない世界に閉じ込められた未来人を作り出し、実際にその街の様子を映し出すことで注目を集め、のちの集客を望もうとしたというわけだ。

 この町ぐるみ、いわば町興し説であれば、公共施設が無人であるのもその目的で協力をもらったことで撮影が成立したということで説明がつく。実際、ハビエルの登場に影響されたことで実際に当地へ赴くという旅行・観光客、スペインの街よりも彼のSFストーリーに関心を持った人々による調査や聖地巡礼(ネット用語でいえば凸者)も増えたようであり、町興し説は一層の信憑性を帯びていた。

 もし町ぐるみの企画であるとしても、ハビエルが出歩いている地域は田舎町でもなく、明らかに栄えた都市部だ。それなのに、現在までに「告発」いわばタネアカシを暴露するような地元住民の声などがほとんど聞かれないのは奇妙ではないかとの声もある。ただ、のちにバレンシア大学にとあるYouTuberが聞き込みをしたところ、ハビエルが許可を得てその場所を撮影していたという情報も聞かれたという。

 ある考察によれば、元々彼のアカウントは複数人によって管理され、ロックダウンの誰一人で歩いていない風景を「世界に取り残された」と触れ込んで大いに受け、次第に施設へオファーし無人の街を演出しだしてから人気となり、ニュースなどによって現実世界とのリンクを演出したことで代替的なキャンペーンにつながったのではないかとしている。

 こうして、2027年も間近に迫った現在、未来人ハビエルの物語についてはある程度の決着がついているようである。今では「あの人は今」状態に近いハビエルだが、ある意味で壮大なエンタメを提供した立役者であったと言えるだろう。

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【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】

文=黒蠍けいすけ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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提供元・TOCANA

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