スライドドアを搭載したミニバンは、子育て世帯にとって強い味方です。広い車内空間、多彩なシートアレンジ、狭い駐車場でも乗り降りが楽なスライドドア……「子どもができたらミニバン一択」という声は、この国ではもはや多数派なのかもしれません。

しかし一方で、子どもが複数いる状況でも、あえてミニバンを避けているファミリーを見かけることがあります。

今回は複数のお子さんをもつ「非ミニバン乗り」の方々に、ミニバンを選ばなかった理由について話を聞きました。

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ミニバンは便利だけど味気ない?

ミニバンは便利だけど味気ない?

「子育てするならミニバン」は本当なのか?第二子の子どもがいてスライドドアじゃない車を使っている家庭は後悔してる?本音を直撃
(画像=©Soloviova Liudmyla/stock.adobe.com、『MOBY』より 引用)

夫婦の車選びをめぐるステレオタイプとして、「車好きの夫が、出産などを機に妻からミニバンに乗るよう促され、泣く泣く趣味を諦める」といったイメージも流通しています。しかし当然女性のなかにも、ミニバンを好まない人はいるようです。

「6歳と2歳の子がいますが、今はミニのクラブマンに乗っています。家にはこれ1台だけなので、これがファミリーカーですね。

夫は車に興味がなくて、乗れれば何でもいいという感じなのですが、私の方は昔からミニバンの生活感が好きになれなくて。便利なのはわかるんですけど、味気ないじゃないですか。合理性ばっかりだと、文化がなくなるというか。

だってそれを突き詰めていくと、家のインテリアとかも病院や学校みたいな感じでいいって話になりますよね。そういうのが我慢ならないので、車も自分の精神性に合ったものを選びたいな、と。

ミニバンに比べれば不便でしょうけど、ずっとこういう車に乗っているので、とくに困るようなこともないですね」(30代女性)

とくに車が趣味というわけではなくても、ファッションやインテリアなどと同じように、車を「個性の表現」や「生活の彩り」として捉える人は少なくないと考えられます。そうした人たちにとっては、「家族のための車」としてのイメージが定着しているミニバンは、どこか物足りないように感じられるのかもしれません。

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ミニバンじゃなくても子育ては可能

ミニバンじゃなくても子育ては可能

「子育てするならミニバン」は本当なのか?第二子の子どもがいてスライドドアじゃない車を使っている家庭は後悔してる?本音を直撃
(画像=©Africa Studio/stock.adobe.com,『MOBY』より 引用)

続いては、コンパクトカーで2人のお子さんを育てているファミリーに話を聞きました。とくに車に強いこだわりがあるわけでもなく、ミニバンを検討したこともあるといいますが、どうしてミニバンにしなかったのでしょう。

「独身の頃からずっとスイフトに乗っていて、子どもが2人生まれてからも、なんやかんやでそのまま乗りつづけていますね。今は4歳と2歳です。もうちょっと広い車なら便利だとは思いますけど、まぁこの車も5人乗りではありますし、荷物を工夫すれば旅行もどうにかなりますしね。

2人目が生まれたときには妻と『ミニバンにしようか』なんて話にもなったんですけど、単純に、買い替えるのにお金もかかりますし、この車で済んでいるうちはそれでいいかなって。妻も同じ意見でした。

子どもがもう少し大きくなって、たとえばスポーツとかを始めたらミニバンを検討しようとは思いますけど、今の段階でちょっとした便利さのために何百万もかける余裕はないし、そこまでの必要性も感じないですね」(30代男性)

ミニバンは子育てに便利な車ではありますが、だからといって「ミニバンじゃないと子育てできない」というわけではありません。子どもの乗り降りや荷物の積み下ろしなど、「日々のちょっとした便利さ」に対してお金をどれだけ払うかどうかは、その家庭の経済観にもよるのでしょう。

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子育てに大事なのは「利便性」よりも…

子育てに大事なのは「利便性」よりも…

「子育てするならミニバン」は本当なのか?第二子の子どもがいてスライドドアじゃない車を使っている家庭は後悔してる?本音を直撃
(画像=©︎Kadmy/stock.adobe.com,『MOBY』より 引用)

子育てを考えたとき、多くの人が車の「利便性」をまず重視する傾向にあります。しかし一方で、別の基準から「子育てに大事な要素」を考えている人もいるようです。

「10歳、8歳、5歳の子どもがいて、今はマツダのCX-8に乗っています。3人目が生まれるまではミニバンに乗っていたんですけど、家族5人になると、やっぱり3列目まで使う機会が増えるので、安全性がちょっと気になったんですよね。

ミニバンだと、リアハッチからの距離が短いですし、衝突安全性試験で3列目の安全性まで公表している車種が見当たらなかったんです。

それでちょうど、CX-8は3列目の安全性も試験で確かめられているというのを知って、それならもうこれしかないなって。ただ結構幅もあるので、乗り替えた直後は不便に感じることもありましたね。

それでも長距離移動はすごく楽になりましたし、車内もとても静かなので、総合的には買ってよかったと思いますよ」(40代男性)

車の安全性を知るための国内基準としてよく用いられるのは、国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)が実施している「自動車アセスメント(JNCAP)」でしょう。事故が起きた際の衝突安全性能や、事故を事前に防ぐための予防安全性能をさまざまな観点から評価する試験ですが、3列目の安全性については評価する項目がありません。

そのため3列目の衝突安全性能を知るには、メーカーなどが独自に実施・公開している試験の結果を調べる必要がありますが、このような試験データを公表している3列シート車は非常に限られています。

一般に、追突事故の衝突速度は他の事故類型に比べて低くなりやすい傾向が見られることなどから、車選びにおいて3列目の安全性はあまり重視されない面があるようです。

一方で、2023年に警察庁が発表した資料によると、車両相互事故のうち追突事故は約36%を占めており、「高いスピードで追突される可能性」もわずかながら考えられます。そのため上のお話にもあるように、「3列目の安全性も万全にしたい」という心理も十分に理解できるものでしょう。

このように、子育て世帯の車選びに「明確な正解」はなく、重視する観点も実にさまざまです。自分たちらしい暮らしを実現するうえで、「ミニバン以外の選択肢」も十分に検討する意味があると考えられます。

文・MOBY編集部/提供元・MOBY

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