火星で発生する上昇気流を上手く利用できたなら、高度60kmまでナノ粒子を拡散させることができます。
このナノ粒子の放出を続けるなら、わずか数カ月で効果が表れ、最終的には「火星の表面温度を30℃以上、上昇させることができる」ようです。
もちろんこれだけでは、まだまだ地球の平均気温には及びませんが、それでも気温が上昇する夏場には火星の氷が溶けて液体の水が得られるかもしれません。
このことは、微生物が繁殖できる環境が作られることや、地球から持ちこんだ植物の成長が促進される可能性を示しています。
ちなみに、研究チームによると、ナノ粒子の製造に必要な70万m3の金属を得るためには、毎年2000万m3の火星の塵を処理しなければいけません。
これは地球の年間金属生産量の3000分の1に相当するため、かなり大規模な製造が必要になることを示唆しています。
また、ナノ粒子の放出を停止すれば温暖化も数年以内に止まってしまうため、一度実行したなら、放出しつづけなければいけません。
この新しいアイデアもかなり難しいように思えますが、研究チームによると、「これまでに提出された火星温暖化のアイデアよりも5000倍以上効率的」とのこと。
ただし、これが仮に実現できたとしても、人間が火星で生活するための条件全て(大気など)が整うわけではなく、研究チームは、「長年の夢に一歩近づく可能性を秘めたアイデア」として報告しています。
人類の居住地候補を人工ナノ粒子で覆うことが、本当に私たちの夢に近い状態なのかは疑問ですが、今後も、より実現可能なアイデアが提出されるのを楽しみにしたいものです。
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参考文献
How we could warm Mars
https://news.northwestern.edu/stories/2024/august/how-we-could-warm-mars/