・トランプ氏とマスク氏の共通認識は、主に①不法移民の取り締まり強化、②インフレ抑制、政府支出の削減と税金の適切な使用を保証する政府効率化委員会の設置(トランプ氏は政府支出の削減には具体策について言及せず、政府効率化委員会にはマスク氏が参画する意志を示す)、③医薬品を始めとした規制緩和ーーの3つ。

一方で、気候変動対策については意見の相違を確認しました。トランプ氏は化石燃料の重要性と、常套文句の「石油の大量生産(drill baby drill)」を繰り返します。マスク氏は反論せず、「石油・ガス産業を軽視すべきではないと思う」とし、経済はそうしたエネルギー源に依存しているとも発言。ただし、環境汚染のために米国が「より持続可能な経済」に移行することを望むと言及、「最終的には呼吸するのも不快になる」とも付け加え、一石を投じました。

個人的には、原発をめぐってヒートアップした議論が印象的でしたね。マスク氏が太陽光発電以外に原発の利用を検討すべきとの議論するなか、トランプ氏はチェルノブイリや福島での原発事故を例に挙げ「2000年はその土地で暮らせない」と疑問を呈した上で、「原発にはブランディングの問題がある」と消極姿勢を覗かせたのです。マスク氏はすかさず「そんなことはない、日本を訪れた時、福島で育った新鮮な野菜や果物を食べたんだ、それが証左だよ」と、真っ向からトランプ氏の意見を否定。これを受けてトランプ氏は「最近調子が良くないんじゃないか…いやジョークだよ」と日本人の心情を逆なでする言葉を放ったのですが、マスク氏はそれでもクールに受け止め「人々が思うほど(原発は)恐ろしいものではないよ」とかわしていたのが印象的でした。

少し脱線すると、マスク氏は2011年7月に福島県相馬市を訪れています。その際、太陽光パネルを寄贈していたんですね。日本の人口減少を憂れう投稿が多いのも、単にXのアクティブ・ユーザー数が国別で上位なだけではなく、日本への思い入れもあるのでしょう。