柏・流山・柏の葉キャンパス

 小田原以外で、東京23区から離れていて住宅コストが安く、かつ都心に通勤可能なエリアというのはあるのか。

「まず東京からみて東のほうでいえば、千葉県の柏駅エリアは狙い目です。柏は十分に発展しているものの人口が減少傾向で駅前の百貨店がなくなるなど商業施設も縮小しているため、特に郊外の土地が安くなっており、広い家を建てやすいです。ただ、市街化調整区域が多いため、住宅を建てられる土地を探す必要はあります。JR常磐線快速で上野駅まで34分なので、混雑は避けられないものの都心へ通勤は可能でしょう。

 常磐線でいえば、柏より先の茨城県土浦、龍ケ崎、牛久あたりも自然が豊かで住宅コストが低いという意味ではアリかもしれません。個人的には、土浦の霞ケ浦はサイクリングなどをするには最高の場所なのでお薦めです。

 同じく東方面で近年、人口が増えているのが、つくばエクスプレス沿線の千葉・流山、柏の葉キャンパスです。特に子育て世帯が増えているため子育てがしやすい点などが魅力ですが、最近では注目されすぎたことも影響して、やや住宅価格が高くなっています。これまであまり開発が進んでいなかったエリアに、つくばエクスプレスの開通を契機として多くのディベロッパーがビジネスチャンスととらえて開発を行い、自分たちの利益を乗せて高めの価格で大量に売っているという面があるという点は留意したほうがよいでしょう。過去に同じようにディベロッパー主導で開発を進めて多くの子育て世帯を集め、現在では衰退してしまった多摩ニュータウンのようなエリアと、同じ歴史をたどってしまう可能性もゼロではありません。

 もっとも、流山や柏の葉キャンパスの地域は江戸の時代から東京と結ばれた水運が盛んで発展してきたという歴史と実力を持っており、そうした地の利を考えると、長い目で見て大きく廃れるということはないとは思います。

 そして、柏はかつての子育て世帯が子育てを終えて若い人々が流出してはいるものの、これまで街に蓄積されたインフラをはじめとするレガシーが残っており、しかも住宅が安く手に入る状況になっているので、ますますお買い得ぶりが際立ってきます」(姫野氏)