キャッチコピーは「大きなコンパクトSUV」、存在感抜群

 新型MINIカントリーマンは従来のクロスオーバーの後継車。新型はモデルチェンジを機に世界統一名称に変更された。オフィシャルサイトでも「大きなコンパクトSUV」と表現するなど、MINIの一員ながら、大きいことを積極的にアピールしている。実車と対面すると、大きさに驚く。

 ボディサイズは4445×1845×1660mm。従来型クロスオーバーに対して130mm長く、25mm幅広く、65mmも高い。人気ミドルクラスSUV、マツダCX-5(4575×1845×1690mm)と並べても、ちょっと短い程度で、サイズ感としては同じ。試乗したのはガソリンの高性能版のS ALL4だ。

【最新モデル試乗】史上最大のMINI! 新型カントリーマンのオールラウンド性能
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【最新モデル試乗】史上最大のMINI! 新型カントリーマンのオールラウンド性能
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 内外装はMINIの特徴的な要素を踏襲しながら、新世代の代表として雰囲気をガラリと変えた。最新流行のフラットデザインを意識したスタイリングは、大柄になった車体によく似合っている。

 インテリアは極めてシンプル。デジタル化しながらも温かみを感じる空間だ。ドライバー正面にメーターパネルはなく、ヘッドアップディスプレイとタッチ機能を備えた大きな円形の有機ELセンターディスプレイに情報を表示。ARカーナビをはじめ空調やメディア、電話、各種設定もセンターディスプレイでスマートフォンのように直感的に操作できる。

 これまでセンターコンソールにあった、ギアセレクター、パーキングブレーキは、センターディスプレイ下側のトグルスイッチで操作する。おかげでセンター周辺はスッキリとした。

【最新モデル試乗】史上最大のMINI! 新型カントリーマンのオールラウンド性能
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【最新モデル試乗】史上最大のMINI! 新型カントリーマンのオールラウンド性能
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 最新MINIは、パッセンジャーをもてなす機能が素晴らしい。乗員を囲むように配された無数の小さな楕円の色や模様を変化させる光のグラフィックとアンビエント・イルミネーションに加えて、「MINI エクスペリエンス・モード」の斬新な表現が楽しめる。一部モードは、新たに作られた「MINI ドライビング・サウンド」とも連携、ライブ感を一段と盛り上げる。

 エクスペリエンスの選択肢は7種類。呼称はノーマル/スポーツ/エコなどではない。コア/グリーン/ビビッド/タイムレス/パーソナル/バランス/トレイル/ゴーカートとユニークな点はMINIらしい。

 車内はとにかく広い。これまでのクロスオーバーは、MINIとしては余裕があったが、さほどルーミーとはいえなかった。まるでMINIとしての一線を超えないことを意識しているように見受けられた。だがカントリーマンは一気に突き抜けた。

【最新モデル試乗】史上最大のMINI! 新型カントリーマンのオールラウンド性能
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【最新モデル試乗】史上最大のMINI! 新型カントリーマンのオールラウンド性能
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 前席は頭上も足元も広々としていて、大柄な人でも狭いと感じさせない。シートのデザインも凝っていて、MINIながらマッサージ機能まで付いている。  後席は、センタートンネルはやや高いが、成人男性2名がくつろいで座れる広さが確保されている。ヒール段差も十分な高さがあり、3分割のリクライニングだけでなく2分割で前後スライドもできる。インナードアハンドルや後席用の空調の吹き出しが縦長デザインというのも目を引く。

 荷室も広い。リアシートを最後端までスライドさせても十分すぎるほどで、フロアボード下にも大きなスペースがある。シートを前倒しすると、ほぼフラットなフリースペースが出現。最大容量は1530リッターまで拡大する。テールゲートはもちろん電動である。

走りはMINIらしく俊敏で意のまま。引き締まった足回りは快適性にも優れる

 走りはなかなか印象的だ。パワートレーンは2リッター直4ガソリンターボ(204ps/300Nm)と7速DCTの組み合わせ。DCTは発進やシフトチェンジもスムーズで気を使う必要はない。6500rpmからレッド表示のエンジンは、1640㎏に達する車体をものともしない。全域で力強く、加速は俊敏である。個人的には、パドルシフトがなくセレクターもマニュアルシフトができない点は少々惜しいと感じた。

【最新モデル試乗】史上最大のMINI! 新型カントリーマンのオールラウンド性能
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【最新モデル試乗】史上最大のMINI! 新型カントリーマンのオールラウンド性能
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 ただし、ゴーカートモードを選択すると積極的にシフトダウンして次の加速に備え、アクセルレスポンスも向上する。実際上は不要ということだろうか。ゴーカートモードでは、もともと俊敏なハンドリングが、さらにクイックになるのも楽しい。

 大きくなっても従来以上に意のままの走りを楽しめるのが、カントリーマンの個性。ドライバーを高揚させる術を心得ている。

 ステアリングホイールも個性的だ。まるで脱着できそうな立体的なデザインで、最初に目にしたときやけにグリップが太いように見えた。運転中も太さを実感する。しかも3本スポークかと思いきや、下側はストラップだった。MINIは新しいことにチャレンジしている。

 足回りは引き締まった印象。これだけ俊敏でロールも抑えられているのだから、ときに硬さを感じるシチュエーションもなくはない。だが以前のクロスオーバーの突っ張った印象はない。重心高が高まりバネ下も軽くはないはずなのに、操縦性と快適性のバランスが巧みだ。すっかり洗練され、成熟度が増した印象を受けた。

 今回は舗装路のみだったが、ALL4システムはオフロード走行を想定して設計されているという。また新型はACCにMINI初となるハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能が搭載された。

 MINIは「意味」ではなく「ブランド」である。もはやサイズをとやかくいうのは野暮というものだ。確かに、MINIが大きくなって何が悪い? カントリーマンはすべてが高い次元でバランスした、ワールドサイズのクロスオーバーである。

MINIカントリーマン主要諸元

【最新モデル試乗】史上最大のMINI! 新型カントリーマンのオールラウンド性能
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

グレード=カントリーマンSオール4
価格=7DCT 566万円
全長×全幅×全高=4445×1845×1660mm
ホイールベース=2690mm
最低地上高=202mm
車重=1640kg
エンジン=1998cc直4DOHC16Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=150kW(204ps)/5000rpm
最大トルク=300Nm/1450~4500rpm
WLTCモード燃費=14.1km/リッター(燃料タンク容量54リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路=9.1/13.5/15.8km/リッター)
トランク容量=505(1530)リッター
サスペンション=前ストラット/後マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=225/55R18+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.5m

フォトギャラリー

【最新モデル試乗】史上最大のMINI! 新型カントリーマンのオールラウンド性能
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
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【最新モデル試乗】史上最大のMINI! 新型カントリーマンのオールラウンド性能
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(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

提供元・CAR and DRIVER

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