彼はそれによる追加的な利益を自分で消費しても良いですが、もしそうするなら、もっと大きな利益を逃すことになります。追加的な利益を自分で消費する代わりに、商品価格を下げれば、競争相手の多くの顧客を引き付けることができます。そうすれば、売上と収入が増加するでしょう。

※競争相手の顧客を「奪う」ことができるとき、需要は「弾力的」だと表現されます。このとき、価格が下がるにつれて、会社の収入は増加します。

こうして会社は繁栄し、関係者全員が得をします。労働者はより生産的になり、その結果、彼らの実質賃金は上昇します。顧客はより多くの生地を安く手に入れることができます。会社がうまく行けば、投資家やサプライヤーも得をします。時間が経つにつれて、競争相手は同じような(あるいはより良い)改良方法を採用しなければ、倒産の危機に瀕するでしょう。

起業家のコスト削減によって、社会全体が豊かになるのです。

経済成長は、経済全体で均質なわけではありません。成長が「デコボコ」になるのは、各産業でのコスト削減の程度が違うからです。その結果、ある商品の値段は劇的に低下し、別の商品ではわずかに低下、あるいは価格が上昇する商品さえあるでしょう。全部を総合すれば、価格はデフレとなります。言い換えれば、各人の購買力が増加するということです。

その結果、人々が買える財とサービスは増えます。あるいは、その余剰を貯蓄することもできます。各市場のレベルで価格が調整されるにつれて、不均衡状態はすぐに解消されます。全体として、経済が成長するときにはデフレが生じるでしょう。

この結論が重要なのは、通過供給(マネーサプライ)を増加させることには、経済的な意味がないことになるからです。

「通貨」の需要と供給には、「他の財」と同じルールが当てはまりますが、通貨はある決定的な側面において、他の財と異なっています。

通貨は使用されても、それはなくならないということです。対照的に、リンゴを使う(消費する)とき、それはなくなってしまいます。消費されるのです。クルマを運転するときも、ゆっくりではありますが、車はだんだんと消耗されてしまいます。しかし、通貨を使うとき、それはなくなりません。