交尾で繁殖する生物にとって生殖器官は絶対に欠かせません。

生命史の中で生殖器官がいつ誕生したのかは定かでありませんが、現存する世界最古のペニスなら知られています。

それは約4億2500万年も前の「貝虫(かいむし)」という生物のペニスです。

一体どのようなものだったのでしょうか。

目次

  • コレが現存する「世界最古のペニス」だ!
  • 4億年もの間、姿形がまったく変わっていない!

コレが現存する「世界最古のペニス」だ!

貝虫の拡大写真
貝虫の拡大写真 / Credit: Journey to the Microcosmos – The Tiny Crustacean With the Oldest Penis(youtube, 2022)

世界最古のペニス化石は2003年、イギリス西部ヘレフォードシャーにある約4億2500万年前の古生代シルル紀の地層から発掘されました。

発見者の一人である英レスター大学(University of Leicester)の古生物学者デヴィッド・シヴェター(David Siveter)氏によると、化石は火山灰に埋もれていたことで腐食や分解が防がれ、驚くほどの精巧さで軟部組織が保存されていたといいます。

この化石は「貝虫(学名: Ostracoda)」という甲殻類に属する微小生物のものでした。

貝虫とは、全身が二枚貝のような殻で覆われた体長1〜2ミリほどの小さな甲殻類です。

貝虫は現生種と絶滅種を合わせると数万種が見つかっており、最も古い種だと約4億5000万年前にまで遡ります。

生殖器官を含む軟部組織は貝殻の中にすっぽりと収まっていますが、隙間から付属肢を出してちょこちょこと移動することが可能です。

動き回る貝虫
動き回る貝虫 / Credit: Journey to the Microcosmos – The Tiny Crustacean With the Oldest Penis(youtube, 2022)

彼らは太古の昔から今日に至るまで、世界中の海水および淡水域に広く生息し、水中の懸濁物(けんだくぶつ、水に溶けずに残る粒子)や動植物の遺骸などを食べて生きています。