日本でウォーターフォールが多い理由

 まず、日本ではウォーターフォールが多い理由はなんなのか。

「ユーザ企業がSIerに発注する際、各フェーズごとにSIerがユーザ企業にドキュメントを納品して、ユーザ企業がそれを検収するかたちで完了となり、『何をもって完了となるのか』が明確になりやすいです。そして、双方ともにゴールが見えやすく、工数と費用、スケジュールの見積もりを立てやすいというメリットがあります。またSIer側の都合として、社内では複数の案件が同時に進行しているので、特定の開発フェーズ・分野に強い自社のエンジニアを『こっちの案件が終わったら、こっちに回す』といったように人のやりくりをしやすくなります。

 もっとも、先ほど理論的には手戻りは発生しないと申しましたが、完璧な要件定義などは不可能なので、現実的には手戻りというのは発生してしまうものでであり、その点はデメリットといえるでしょう」(田中氏)