鬱陶しい雨模様が続いているが、梅雨が明けるといよいよ夏本番。ダイバーズウオッチが似合う季節がやってくる。そんなダイバーズウオッチだが、腕時計のジャンルのなかでもクロノグラフと並んで圧倒的な人気を誇る。そのため読者のみなさんの中にも愛用している人はかなり多いのではないだろうか。

ダイバーズウオッチとは、その名称のとおり、潜水をする人のために開発された腕時計である。そのため当然のごとく高い防水性能は必須だ。加えて実はもうひとつ必要なものがある。それは潜水時間表示計と言われるものである。

この表示計だがいくつか種類があって、その最も代表的なもといえば写真のように風防ガラスの周りに装備された目盛り付きの回転ベゼルタイプである。さすがにダイビングコンピータが当たり前のいま、アナログのダイバーズウオッチを着けて潜るダイバーはいないと思うが、この回転ベゼルについてはJIS規格(日本産業規格)でも下記のような基準を設けて規定されているのだ。

『潜水時計は、回転ベゼル又はデジタル表示装置のような潜水時間表示計を備えていなければならない。不慮の回転の防止又は誤作動防止が配慮されていなければならない。60分間にわたり1分又はそれ以上に細かく、潜水時間の表示をしなければならない。なお、アナログ表示の場合、5分ごとの目盛りは他の目盛りと比べ強調して表示していなければならない』

夏にこそ似合うダイバーズウオッチ。その回転ベゼルはなぜ右回転できないのか?
(画像=潜る際にベゼルを左回転させて逆三角マークを分針の先端にセットする、『Watch LIFE NEWS』より 引用)

もう少しわかりやすく解説すると、ダイバーズウオッチとは時間を知るだけでなく、潜水時間を知るためのものでもある。つまりこの潜水時間の計測に目盛り付き回転ベゼルが必要なのだ。そして、どれだけ潜っていたかを知るということは酸素ボンベの残量を把握するうえでとても重要となる。

使い方はいたって簡単。潜水する際にベゼルを回転させて逆三角マーカー(写真の赤色部分)をその時点での分針の位置に合わせて潜る。つまり逆三角マーカーを見れば、潜水してからの経過時間が把握できるというわけだ。

ただ、潜水中に肝心の逆三角マーカーが動いてしまっては正確な潜水時間がわからなくなってしまう。しかも時計回りと同じ右に回転してしまうと、潜水時間が実際よりも短く表示されてしまい大変なことになる。それを防ぐために左回転のみできるようになっているのだ。JIS規格の「不慮の回転の防止又は誤作動防止が配慮されていなければならない」の一文が明示されているのはそのためである。

[写真の時計]
アウトライン×チックタック「ネイビーダイバー」
SS(40mm径)。10気圧防水。自動巻き(セイコーエプソン製 Cal.YN55A)。6万6000円

提供元・Watch LIFE NEWS

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