夏真っ盛りということで今回はアウトラインの既存コレクションの中から久しぶりに“コンプレダイバー1960”と“ネイビダイバー”という2種類のダイバーズ系モデルを取り上げたいと思う。実はこの両者は同じダイバーズ系ながら、その必須機能である回転スケールの仕様が大きく異なる。
この回転スケールは、時計の機能を利用して潜水中の空気ボンベが後どれだけもつかを把握できるようにと設けられたものだが、そのスタイルを確立したモデルとして有名なのはロレックスが1953年に登場させたダイバーズウオッチ、サブマリーナーである。そして、このサブマリーナーが採用したのはアウターベゼルスタイル(写真右側のベゼル仕様)で、風防ガラスの外に回転ベゼルを装備したものだった。
その一方で、1960年代になると多くの時計メーカーからサブマリーナーのようなアウタータイプではなく、インナーベゼルスタイル(写真の左側)、つまり風防ガラスの内側に回転ベゼルを装備したダイバーズウオッチが続々と誕生する。
ロンジンやジャガー・ルクルトがその筆頭としてよく知られているが、これはEPSA社というケースメーカーが開発したコンプレッサーケースと呼ばれる防水ケースが登場し、これを様々な時計メーカーに提供したことから各社がこぞってダイバーズウオッチを製品化したからである。
現在のダイバーズウオッチの主流は圧倒的にアウターベゼルタイプ。いまや誰もがそれとわかる象徴的なスタイルといっていいだろう。対してインナーベゼルの場合は、リューズのほかに回転ベゼル操作用ボタンがあり、加えて回転ベゼルの操作にもギミック感があるなどちょっと見た目にも個性的でおもしろい。
ダイバーズウオッチを買う際、どうしてもサブマリーナーに代表されるアウターベゼルタイプばかりに目がいってしまうが、ぜひ、インナーベゼルタイプも含めて注目してもらうと、より選択肢が広がって楽しいかもしれない。
というわけで、次ページではコンプレダイバー1960とネイビーダイバーをあらためて簡単に紹介させていただく。ぜひ、夏時計の選択肢のひとつに加えていただけたらうれしい。
■アウトライン・コンプレダイバー1960
ケースメーカーのEPSA社が55年に特許を取得した防水のコンプレッサーケースは、ケースにかかる水圧を利用して、水深が増すごとに密閉度を高めるというものだった。EPSA社はこれをスイスの各時計メーカーに供給。それによって多くのメーカーでもダイバーズウオッチの製造が可能になったというわけである。
そして、当時のコンプレッサーケースを採用したダイバーズウオッチにはある共通点があった。それは経過時間を確認するための回転式スケールが外側ではなく風防ガラスの内側に設けられているという点だ。
アウトラインの“コンプレダイバー1960”は、そんな当時のコンプレッサーダイバーの雰囲気を再現。風防ガラス内に装備した回転式スケールは当時と同じく2時位置のボタンを回して操作する。自動巻きムーヴメントはシチズン傘下であるミヨタの最上位機、Cal.9015を搭載。シースルーバックからはテンプの動きも楽しめる。しかも、このハビート機ながら価格は4万9500円と5万円を切る。
Ref.YK18001-1(ブラック)、Ref.YK18001-2(ネイビー)。316Lステンレススチール。ケース径40mm、ケース厚12.7mm。10気圧防水。自動巻き(日本製Cal.MIYOTA9015/秒針停止機能搭載)。逆回転防止機能付き回転インナーベゼル、デイト表示、シースルーバック。49,500円(日本製)
■アウトライン・ネイビーダイバー
かつてクラウドファンディングで1400万円以上を達成した人気モデルをベースに、腕時計の人気セレクトショップ“チックタック(TiCTAC)”との初コラボレーション企画として復活させたのがネイビーダイバーである。
最大の特徴は、1960年代の往年のダイバーズウオッチをモチーフにしつつも、ベゼルは一般的なブラックではなく、経年変化によってネイビーカラーに退色したかのような雰囲気を再現している点。
このネイビーベゼル、実はヴィンテージサブマリーナーのレアポイントとして挙げられる退色ベゼル(Faded bezel)の中でも特に愛好家から珍重されているもののひとつ。今回はその色合いに徹底的にこだわり何度もやり直しをすることで、ロレックス愛好家の方も思わず2度見してしまうほどの絶妙な色合いを再現した。
ラインナップはドットとバーを組み合わせた往年のスタンダードタイプと、一部に3・6・9を使用した軍サブタイプである。もちろん1950年代のものを復刻したアウトラインオリジナルのリベットブレスがセットされており、レトロ感がぐっと際立った魅力的な作りとなっている。ムーヴメントにはセイコーエプソン製の自動巻き、Cal.YN55Aを搭載する。
Ref.YK20223-1(ドットタイプ)、Ref.YK20223-2(3・6・9タイプ)。316Lステンレススチール(ブレス:304ステンレススチール)。ケース径40mm、ケース厚12.75mm(サファイアクリスタルのドーム形風防の3mmを除く)。10気圧防水。自動巻き(セイコーエプソン製 Cal.YN55Aブ)。各6万6000円(日本製)
提供元・Watch LIFE NEWS
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