クロダイは、人気釣りターゲットの代表格とも言える魚で、海釣りアングラーにとっては身近な存在です。れっきとしたタイの仲間ですが、どうしても臭みや美味しくないイメージが付きまとうために釣れても食べない人は多いはず。「何処にでも居る」からこそ食味の評価が分かれてしまう魚とも言えます。今回はクロダイの食味について触れた上で、美味しく食べるための下処理方法について解説します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・杉本隼一)
クロダイは生息環境で味が変わる
クロダイは生息環境の影響を受けやすく、地域や場所によっては臭い個体が多いです。特に、都市部の運河にいるクロダイは流石に食べる勇気がありません。
しかし、水質の綺麗な場所や外海周辺で回遊している個体は驚くほど臭みがなく、中にはマダイに引けを取らない上質な身を持ったクロダイもいます。
同じ魚なのに生息環境の違いで天と地の差になってしまうのが難点であり、クロダイらしさでもあります。
臭みが強くなる時期がある
筆者の居住する静岡エリアでは1年中クロダイが狙えるため、春夏秋冬全ての時期で釣れたクロダイを食べてきました。
一般的に、夏場のクロダイは臭みが増すイメージがありますが、筆者の感想として、特に初夏から秋の初め頃にかけて臭みが強くなる印象を受けます。
反対に、最も臭みが少ないのが冬から初春にかけての寒い時期で、この時期のクロダイは脂も乗って驚くほど美味です。
なぜ夏は臭みが出るのか
なぜ、夏のクロダイは臭みが増すのでしょうか。要因の1つにエサの内容があります。
夏場の港や岸壁で水面近くまで浮いてエサを食べるクロダイをよく見かけるはず。潮間帯に付着している貝やフジツボを食べているのですが、これが臭みの原因になります。
胃の中で発酵したものは悪臭の原因になりやすく、身に臭みが移ってしまうことも。一方で、たくさんエサを食べているため脂が乗っている魚も多く、処理次第では美味しい魚に生まれ変わります。
手は掛かりますが、丁寧に下処理をすれば夏場でも美味しいクロダイを食べられるチャンスがあるのです。