コールドドリンクにプラスチック製ストローの代わりに紙製ストローを付属して提供していたマクドナルドが順次、紙製ストローも廃止しているとの報告がSNS上で相次ぎ、さまざまな反応が寄せられている。ストロー自体の提供をやめる理由とは何なのか。業界関係者の見解を交えて追ってみたい。

 マクドナルドは2022年10月からプラスチック製のストローとカラトリーに代わり紙ストロー、木製カトラリーの提供を開始し、23年12月からサイドサラダの容器を紙製容器に変更。日本マクドナルドの発表によれば、21年の全店舗のプラスチック類廃棄量は年間6500トンであり、紙ストローと木製カトラリーの提供により年間900トンのプラスチックを削減。25年末までに容器包装類を再生可能な素材、リサイクル素材または認証された素材に変更する目標を掲げるなど、環境負荷低減活動に取り組んでいる。ちなみに子ども用ストローとマックシェイクなど一部商品用ストローはプラスチック製を付属しており、店舗で希望する客にはプラスチック製ストローを提供している。

 事業者に使い捨てプラスチックの使用削減を促すプラスチック資源循環促進法が22年に施行。使い捨てプラスチック製品を年間5トン以上提供する事業者については、対応が不十分な場合には社名を公表する措置が取られるため、大手外食チェーンは一斉にストローや容器、カラトリーをプラスチック製以外の素材に切り替えた。

「よく『紙ストローだと味がまずくなる』と批判されるが、飲食店側としては法律を破るわけにはいかす、わざわざ切り替えコストをかけてまで紙製に切り替えているので、文句を言われても困るというのが本音。また、『ストローは紙なのにコップの蓋がプラスチックのままだと意味がない』とも言われるが、100%リサイクル可能な素材を使用しているケースが多い」(外食チェーン関係者)

 プラスチック規制は世界的な動きだ。EUは19年に使い捨てプラスチック製品の流通を禁止する法案を採択し、加盟国はプラスチック製のカトラリー、ストロー、コップなどの流通を禁止している。アメリカの一部州は飲食店などでのプラスチック製使い捨てストローの提供を禁止しており、台湾は30年までにプラスチック製ストローの利用を全面的に禁止する予定だ。

店舗オペレーション的にメリットも

 そのマクドナルドが今月3日から順次、コールドドリンクにストローを付属することを廃止し、代わりにストローなしで飲めるタイプのペット素材の蓋を付属しているという。ちなみに「ハッピーセット」「マックシェイク」「マックフィズ」「マックフルート」などは引き続きストローを付属する。これを受け、SNS上で以下のような声があがっている。

<紙ストローよりはるかにマシ>

<カップ直飲みするかプラストローに替えてもらうか持参プラストロー使うかのどれかだったからこれは有能>

<マック、ストローなしで飲めるフタになるの普通にめちゃくちゃ嬉しい>

 ちなみに「ストローを廃止しておいて、なぜ蓋はプラスチック製なのか」との疑問の声もみられるが、100%リサイクルペット素材を使用している。外食チェーン関係者はいう。

「昨年から米国のマクドナルド一部店舗ではストローを使用しない蓋が導入されているということなので、世界で米国、中国に次ぐ店舗数の日本でも始まったということでは。紙ストローは何かと不評で、プラスチックストローと比べて味が変わってしまうというのは事実なので、ストロー不要で飲める蓋のほうがよいという客も一定数いるだろう。ストローは形状的にかさばるので、店員にとってはゴミ箱に設置された大きなゴミ袋を取り出して廃棄する際に何かと手間がかかる。ストローとそれを入れる袋の廃棄がなくなるというのは、店舗オペレーション的にはメリットがあり、長期的にみれば廃棄コストの削減につながる可能性もある」

 外食チェーン関係者はいう。

「『紙ストローだと不味くなる』という批判があるなら、いっそのことストローの提供をやめるというのは経営判断としてはアリだと思う。SNS上の写真をみると、ファストフード店のホットドリンクやコンビニコーヒーなどで一般的に使われている、口につける部分を上部に引き上げて開けて固定するタイプなので、違和感なく飲める人が多いだろう」

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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