モータースポーツで鍛えたGRカローラが一段と進化! さらなる野生味を追求して北米デビュー
(画像=TOYOTA GAZOO Racingは米国カリフォルニアで進化したGRカローラを世界初披露。最新版は、さらに走りを研ぎ澄まし野生味を高めた俊足4WD。6速MTに加え8速AT(GR-DAT)を設定。北米以外への導入は検討中、『CAR and DRIVER』より 引用)

最新版1.6リッターターボは最大トルク400Nm実現。GR-DATも登場

 TOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)は、2024年8月1日(現地時間)、進化したGRカローラを米国カリフォルニアで世界初披露した。GRカローラは、「カローラのスポーツカーとしてのDNAを呼び覚まし、スポーツ派を虜にするカローラを取り戻したい」というモリゾウこと豊田章男トヨタ会長の強い思いで誕生したスポーツ4WDである。

 最新版は、スーパー耐久シリーズなどのモータースポーツ参戦で得た学びを生かしたモデル。高速コーナーでの旋回性能、加速性能や冷却性などをリファインしたほか、進化型GRヤリスにも採用した8速AT(GR-DAT)を追加設定。石浦宏明選手らのプロレーサー、トヨタ社内の評価ドライバー、そしてマスタードライバーのモリゾウからのフィードバックをもとに、限界領域および日常使いにおいて、ずっとステアリングを握っていたくなる「野生味」を追求した。なお日本を含め、北米以外のマーケットへの導入は現在検討中という。

モータースポーツで鍛えたGRカローラが一段と進化! さらなる野生味を追求して北米デビュー
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
モータースポーツで鍛えたGRカローラが一段と進化! さらなる野生味を追求して北米デビュー
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

フットワーク、速さ、楽しさを徹底追求。走りの熱さは超一級

 最新GRカローラの改良内容は多岐にわたる。簡単に説明していこう。

1:旋回性能の進化
・前後ダンパーにリバウンド側で作動するスプリングを内蔵。旋回時の車両姿勢と内輪の接地荷重特性を改善。旋回中の車両安定性向上を図った。

モータースポーツで鍛えたGRカローラが一段と進化! さらなる野生味を追求して北米デビュー
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

・リアアクスルの回転中心であるトレーリングアーム取付点を上げることで加速時のリアの沈み込みを低減。アクセル操作に対する車両姿勢変化を抑えることで、駆動力の応答性が向上。安定した姿勢でのコーナリングを実現。
・リアのコイルスプリングとスタビライザーのばね特性を見直し、それぞれのロール剛性の分担率を最適化。旋回時のリアタイヤの接地性を高め、車両コントロール性が向上

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(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

2:加速性能の進化
・スポーツ走行でのエンジン使用領域を分析し、コーナーでの立ち上がり加速に重要な中速域でのエンジントルクを現行型に対し30Nm増加。最大トルクを400Nmにアップ。

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(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

・進化型GRヤリスにも採用した、世界トップレベルの変速スピードを目指した8速AT(GR-DAT)を搭載。プロドライバーのシフト操作と同じイメージのタイミングでのギア選択を実現。シフト操作に気を使わずにステアリング、アクセル、ブレーキ操作に集中できることで、スポーツ走行の楽しさが拡大。

モータースポーツで鍛えたGRカローラが一段と進化! さらなる野生味を追求して北米デビュー
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

3:冷却性能と空力性能の進化
・GR-DAT搭載車にはエンジン始動時の暖気促進も兼ねる水冷式ATFウォーマー&クーラーに加え、空冷式ATFクーラーを標準装備。さらにスポーツ走行を考慮して、エンジン冷却を促進するサブラジエーターを設定。

・空冷式ATFクーラー前のロアグリルに冷却用の開口を設定。フロントバンパー側面のサイドダクトに空気の排出用の開口を設けることで冷却用の空気をスムーズに排出する構造を確立。

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(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

・安定した制動力を確保するブレーキダクトを採用。フロントブレーキローターに直接風を導き冷却性能を高める工夫で、ブレーキ温度の上昇を抑制。

・バンパーコーナー部に安定的かつ適度な乱流を発生させる小さな段差を設定し、バンパーコーナー部からの空気の剥離を抑制。冷却性能強化に必要な各機能を追加しつつ、操縦安定性を確保。

・空気をスムーズに排出するサイドダクトを設定。ATFクーラーから排出された空気がサイドの空気の流れを乱すことなく後方に流れるよう計算した突起形状を採用。

モータースポーツで鍛えたGRカローラが一段と進化! さらなる野生味を追求して北米デビュー
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

4:減速性能の進化
・限界領域でも安全安心で懐の深いクルマに仕上げるためにABSを改良。上下Gセンサーにより、ABS作動時の接地荷重をモニタリングすることでABS作動時の安定した制動力を実現。

5:クルマとの一体感の進化
・ステアリングコラムとインスツルメントパネル・リインフォースメントの締結部に締結剛性の高い溝付きワッシャーボルトを採用。直進安定性とステアリング操作に対するダイレクト感を向上。

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(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

・シャシー部品の締結ボルトの一部に締結剛性の高い特別なボルトを採用。ロアアームとロアボールジョイントの締結部はステアリング操作に対する応答性、リアダンパーとボディの締結部はステアリング操作に対するリアのグリップ感向上に効果を発揮。

モータースポーツで鍛えたGRカローラが一段と進化! さらなる野生味を追求して北米デビュー
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
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(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

・クラッチシステムのトータルレバー比やクラッチカバー、ターンオーバースプリングの荷重特性を最適化することで、クラッチペダルの操作性を向上。ピーク踏力を高めに設定し、踏みごたえのあるペダル操作フィーリングとしたほか、ピーク踏力以降は、ペダルストロークでの踏力を減少させることでペダルの踏み切り感を向上。さらにスポーティな操作感となるようクラッチ特性を最適化。戻し側の荷重増加による足への追従性、半クラッチストロークの短縮に夜操作性を向上。

トヨタGRカローラ改良版 主要諸元(米国仕様)

モータースポーツで鍛えたGRカローラが一段と進化! さらなる野生味を追求して北米デビュー
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

グレード=GRカローラ(北米仕様)
全長×全幅×全高=4410×1850×1480mm
ホイールベース=2640mm
車重=1550(GT-DAT仕様は1520)kg
エンジン型式=G16E-GTS
エンジン=1618cc直3DOHC12Vターボ
最高出力=224kW(304ps)/6500rpm
最大トルク=400Nm(40.8kgm)/3250~4600rpm
サスペンション=前ストラット/後ダブルウィッシュボーン
差動制限装置=前後トルセンLSD
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=235/40R18+アルミ
駆動方式=4WD

文・横田宏近 /提供元・CAR and DRIVER

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