VPNはVirtual Private Networkの略で、一言で言えば「仮想の専用ネットワーク」。iPhoneでも「設定」からVPNを利用可能で、第三者から通信内容を不正に見られるリスクを軽減できます。とはいえ、VPNは名前こそ聞いたことがあっても「馴染みが無い技術」と感じる方もまだまだ多いでしょう。そしてVPNそのものの危険性も気になるところ。

たとえばアメリカでは無料VPNアプリを介して1900万件以上のIPアドレスを収集し、サイバー犯罪者にデータを貸し出して収益を得ていた人物が逮捕された事例もあります。こうした事例があるならば、よほど危険性の高い用途でスマホやPCを使うのでなければVPNは使わない方が安全ではないか、と感じることすらあるでしょう。

今回は「VPNは使った方が安全なのか、むしろ危険なのか」を解説します。

VPNは本当に安全?

VPNは外部から情報を読み取られるリスクを軽減できる、通信網の構築技術です。「トンネリング」によって仮想の専用回線を設け、カプセル化と暗号化によってデータを保護します。

意外と知らない「VPNは使った方が安全なのか、むしろ危険なのか」
(画像=『オトナライフ』より 引用)

たとえばVPNは「テレワーク」に適した技術の1つです。社員にテレワークを推奨する一方で、その社員が社内ネットワークにアクセスする必要がある場合「社外からのアクセスを許可」しなくてはいけません。よって社外から社内ネットワークにアクセスする際に、社内LANや専用線と同等のセキュリティレベルを実現するためにVPNが使われています。

高度なセキュリティを求められるビジネスシーンではVPNは日常的に利用される技術であり、VPNという技術そのものが危険であるとは言えません。つまりVPNの危険性は、技術そのものというよりは

・VPNのログイン情報そのものが流出する
・信頼性が低い外部のVPNアプリを利用してしまう

といった点に存在しています。またVPNの用途にも注意が必要です。VPNで接続する先のサービスが高いセキュリティで守られているとも限らないためです。「VPNを使うから危険なサービスに接続しても良い」わけではないです。

VPNアプリの危険性
2016年に行われた調査では、Androidの公式ストアに公開されているVPNアプリの38%にマルウェアが仕込まれていると報告されています。

また冒頭でも解説した通り、アメリカでは悪意のあるVPN事業者がIPアドレスを不正に収集し、犯罪者に横流しをしているケースも確認されています。つまりVPNそのものは本来高い安全性がある技術ですが、「VPNアプリ選び」は慎重に行うことが望ましいでしょう。

それでもVPNを利用した方が良いシチュエーションとは?

VPNそのものは安全性が高い一方で、VPNのログイン情報やVPNアプリには危険性が存在し得る点は前述の通りです。ではそうした危険性があっても、VPNを利用した方が良いシチュエーションとはどのようなものでしょうか?個人利用に関して言えば、公衆Wi-Fiの利用時が挙げられます。

意外と知らない「VPNは使った方が安全なのか、むしろ危険なのか」
(画像=『オトナライフ』より 引用)

たとえばカフェやホテルなどの公共のWi-Fiは、通信が十分に暗号化されていないことも多いです。つまり公共Wi-FIの接続時に、ウェブサイトのフォームなどに個人情報を入力するとその通信内容が傍受されてしまうリスクがあります。VPNを使用することで、こうしたリスクを大幅に軽減できます。

VPNアプリの選び方は?

まず、信頼できるVPNプロバイダーを選ぶことが重要です。ログを保存しない方針を明確にしているプロバイダーや、第三者機関による監査を受けているプロバイダーを選びましょう。迷った場合には海外製の無料VPNアプリではなく、国産のVPNアプリを選ぶのが望ましいでしょう。

さらにVPNを使用していても、不審なサイトへのアクセスや個人情報の安易な入力は避けるべきです。

国産VPNの例

意外と知らない「VPNは使った方が安全なのか、むしろ危険なのか」
(画像=『オトナライフ』より 引用)

たとえばMillenVPNは日本発のVPNアプリの1つです。日本の法令に基づいてクリーンに運営されているVPNアプリのため、海外製の無料VPNアプリと比較し、安心して利用できます。専用アプリをインストールするだけで簡単に接続可能で、どこにいてもセキュリティが確保されたインターネット接続を利用できます。

[サブスクプラン]
・2年プラン ¥360/月(税込¥396)
・1年プラン ¥540/月(税込¥594)

[ワンタイムプラン]
・7日プラン ¥580/7日(税込¥638)
・15日プラン ¥980/15日(税込¥1,078)
・30日プラン ¥1,580/30日(税込¥1,738)

筑波大学の実証実験プロジェクトも非常に有名
このほかには、筑波大学が実証実験として運営するVPN(無料)も非常に有名です。筑波大学の「VPN Gate」は、学術目的で運営されている無料のVPNサービス。このプロジェクトは安全性の高い情報閲覧および発信を目的としています。ただし無料サービスであるうえ、ボランティアによって運営されているため、サービスの安定性や速度に関しては商用サービスに劣る可能性があります。

今回は「VPNは使うべきか、否か」を解説しました。まずVPN技術そのものは高度なセキュリティを実現できるものであり、価値があります。特にカフェやホテルから公共機関まで幅広く「公衆Wi-Fi」が設置されている昨今、こうしたフリーWi-Fiを使うならば原則としてVPN接続をすべきです。

ただし「VPNアプリ」には危険性がある場合も。海外製の無料VPNアプリを安易に選ぶことはおすすめしません。信頼できるサービスをしっかりと見極めたうえで、VPN接続を行うことで、VPNを使わない場合と比較して安全性が高い接続が実現できるでしょう。

※サムネイル画像(Image:Stefan.co / Shutterstock.com)

文・オトナライフ編集部/提供元・オトナライフ

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