■昆虫のプロは「電車で起こりやすい現象」

昆虫採集の正しい価値を知ってもらうため、昆虫愛好家・研究家によって設立された日本昆虫協会。

写真の虫の詳細について尋ねると、同会の担当者は「ジャコウアゲハのメスです。黒いアゲハチョウの中ではかなり特徴的な色のため、すぐに分かります」と、即座に回答してくれた。

写真のような状況について「鉄道は郊外の田園地帯の駅が始発や終点となっているケースが多く、車内に昆虫が入ってしまうことはよくあります」「特にドアを開けたまま長時間停車していると、起こりやすいです」とも、補足している。

ジャコウアゲハを目撃した際、どのような行動が推奨されるのだろうか。

こちらの疑問に対し、担当者は「他の蝶と同じで、何か特別な行動をする必要はありません。お好きなら観察したり、撮影したり、捕まえたり。お嫌いなら無視するか、立ち去るか」と回答。

ただしジャコウアゲハは草食由来の毒を体内に蓄積しているため、「おどけて大量に食べるようなことはしない方が良いと思います」と、注意を促している。記者個人としては、どんなにおどけていたとしても「大量」どころか、「1匹」も食べたくないが…。

同会の担当者は「フラフラと電車の中に入り込むほど、普通によく見かける蝶です」ただし食草(幼虫の食べ物)が、栽培されることがほとんどないウマノスズクサ類のため、栽培植物であるミカン科植物やクスノキを食べるアゲハ類ほどは多くありません」とも補足していた。