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前稿では、腐敗した議会の事例を説明しました。

(前回:地方議会の権力と腐敗②:賛否独占による絶対権力の構造)

今回は、なぜそのような「腐敗した議会」が全国的に放置されているのかを概観し、本稿のまとめをします。

Q6. そのような議会では、「過半数議員団」以外の議員が何を言っても、市長や行政にとって「痛くもかゆくもない」のではないですか?

必ずしもそうではありません。

確かに、行政が「議会のドン」や「過半数議員団」を懐柔できれば、議案は常に賛成多数で可決されます。しかし、議員は行政の予算に関する詳細、例えば予算書や議案の説明資料等に最も近い存在です。そのため、「過半数議員団に属していない議員」が議案の中で明らかな問題を見つけた場合、それを議会で問いただし、市民の皆さまに知らせることができるのです。

そのようにして議会で議論された問題がメディアの目に留まれば、テレビでの報道や、新聞記事として取り上げられることもあります。

佐倉市の場合、市職員向けの持ち家手当を復活させた議案について、私を含む複数の「過半数議員団以外の議員」により議会内外で問題が取り上げられた結果、多数のメディアに報道され、全国に佐倉市の「特異性」が知れ渡ることになりました。

Q7. そのような地方議会の問題は、大なり小なり全国的なものであるとのことですが、ほとんどの国民が知らない理由はなんですか?

要因はいろいろありますが、そういった議会では、先に説明した通りできる限り市民に「関心を持たれない」ように運営してきたことが大きいと思います。

例えば、重要な議案に対する賛否理由の説明を市民にしないのもその一つです。賛成であれ反対であれ、議会の中で賛否が割れた議案であれば、その理由を市民の皆さまに理解していただこうとするのが議員の務めですが、それをしない。

ポスターや看板をたくさん掲示して顔や名前を市民に植え付けたり、夏まつり等の地域イベントに積極的に顔をだしたりすることで票が入るのであれば、本来議員としてやらなければならない仕事をしなくても議員は続けられるのです。