以下、シュルテ記者の記事に基づいて、NATOが建設中の欧州最大規模の基地について報告する。

ミハイル・コガルニチャーヌの町にあるコンスタンツァ空港は、一見するとルーマニアの普通の地方空港のように見える。しかし将来的には、ヨーロッパ最大のNATO基地がここに設置される予定だ。数年後には、陸軍、空軍、海軍の兵士1万人が駐留する見込みだ。

同空港には、ルーマニア空軍とそのNATO同盟国が使用する軍事施設が既にある。しかし今後20年にわたり大規模に拡張され、現代化される予定だ。この基地は3000ヘクタールに拡張される計画で、これはベルリンのテンペルホーフ空港の約10倍の大きさで、ラインラント=プファルツ州にある大規模なラムシュタイン基地をも凌駕する。

戦闘機用の新たな滑走路や誘導路、大型軍用機のための格納庫、さらに弾薬庫や燃料貯蔵施設、技術機材の保管場所が新設される予定だ。拡張工事は最大20年かかる見込みで、総工費は25億ユーロだ。また、NATO兵士の家族もここに住むことになるため、学校や幼稚園、商店、病院も建設される。事実上、ルーマニアの大都市コンスタンツァの郊外に独自の軍事都市が誕生することになる。

現在、ルーマニアには合計で7万人のNATO兵士が駐留している。ドイツ連邦軍もユーロファイター戦闘機を空軍基地に配備した。ここからNATOは東側防衛線の空域を監視し、非常事態に備えて訓練を行っている。ただし、ロシア軍との衝突、エスカレーションを引き起こさないように注意が払われている。実際、2022年9月、ロシア戦闘機が英国偵察機に向かってミサイルを発射するという事故が起きているし、23年3月には米軍の無人機がロシアの戦闘機によって墜落されている」。

以上、シュルテ記者の記事からの引用だ。

欧州では英国とフランス両国が核保有国だ。そのうえ、NATO加盟国には米国の核兵器がイタリア、ベルギー、オランダ、ドイツのラインラント・プファルツ州のビューヒェルに保管されている。ロシアの核の脅威に対し、欧州は米国の核の傘下にある。そしてフィンランドとスウェ―デンの北欧両国がNATOに加盟したことで、NATOの北部戦線は強化された。そしてルーマニアに東方戦線の防衛を目的に欧州最大のNATO基地が建設中だ。ロシアのウクライナ侵略後、NATO主導の欧州の安全体制(加盟国32カ国)は著しく強化されてきたわけだ。