日本にカメラ技術が渡って来たのは幕末、黒船の来航に始まると言われている。ペリー艦隊の一員であったエリファレット・ブラウン・ジュニアが写真家として随行し、日本の風景や人物を撮影したのが国内における最初の写真撮影になったと言われている。その後、上野彦馬が1862年に長崎にて写真館を開き、これによって日本は写真文化が到来、共に上野は日本における写真の祖として名を残すこととなった。彼は、坂本龍馬を撮影した人物である。

 当時の写真技術というのは、1枚を撮影するのにおよそ30分、しかもその間に体を動かすことは禁じられていたほどに過酷であった。それほどに苦しい思いをして完成したのは鮮明な自分の姿、この現象を人々は文明の利器の素晴らしさよりは、むしろ逆に「写真を撮ると魂を抜かれる」と考えたほどに気味悪がったと言われている。

 こうした写真にまつわる俗信には、もう一つ不気味な内容のものが語られている。それは、3人並んで写真を撮る時真ん中にいるのは縁起が悪い、もっと言うと3人揃って真ん中にいる状態で写った人は早死にしてしまうというものだ。

 なぜこのような俗信が囁かれるようになったのだろうか。これにはいくつかの説が挙げられている。

「3人並んで写真を撮ると真ん中の人が早死にする」写真にまつわる迷信は何故生まれたのか
(画像=PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像,『TOCANA』より 引用)

 まず第一の説は、初期のカメラの性能上の問題にあるというものだ。3人が横並びで撮影された際に真ん中の人物が最も良くピントが合い、両側の2人がぼやけてしまうようになる。ここに前述した、鮮明に写った写真は魂が抜かれたものとしての潜在的な恐怖感によって、最も鮮明に映し出された真ん中の人物が一番魂を抜かれやすいという考え方に繋がったのではないか。

 第二の説は、「3」は「惨」を表し縁起が悪いというものだ。これは「4」が「死」、「9」が「苦」に通じるというものと同様の忌み数の考え方に基づく説だろう。しかし、日本において「3」を含めた偶数はむしろ縁起の良い数を見なされることの方が多い。「さん」という音で「惨」をイメージすることについても、4や9に比べてそうあることではないだろうし、何よりこの説では”真ん中の人物”だけの問題では済まされないだろう。

 第三の説は、真ん中に来るのがどのような人物であるかにかかわるものだ。集合写真などをイメージしてもらうと判りやすいと思われるが、例えば上下の人間関係がある複数人で写真を撮る際、真ん中に来る人物というのは、最も権威のある人物以外であるとすれば最も年長の人物であることが殆どだ。つまり、真ん中に来る人物は必然的に年長者、言い換えれば一番寿命が短い人物になるため、このことから真ん中の人物が早死にするという説明がなされるわけだ。

 有力とされているのはこの第三の説である。ただ、「早死にする」という表現に基づく限り、これは「若くして死ぬ」という意味にとれるため、寿命が短い年長者だからという理由にはつながらないのではないかとも思える。とはいえ、生い先の短いことが「もうすぐ死んでしまう=早死に」へと変化していった可能性も否定はできない。この他、棺を担ぐときに真ん中の人物は両側の2人によって担がれ運ばれる故人であることからというものもあるようだ。

 前述したように、当初は写真に対する恐怖というものは現代の我々の想像を絶するほど強かったと言われている。そうした意識がそのまま、3人写真の俗信へとつながっていったことは想像に難くない。写真屋では被写体が3名であった際には、ぬいぐるみや人形を抱かせたり置いたりして人数をかさ増しさせるという涙ぐましい対処法が、近年でも見られていたのだ。

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文=ZENMAI(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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提供元・TOCANA

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