北アメリカ大陸には、15世紀のヨーロッパ人による「発見」のずっと前から多くの人々が居住していた。だが、そんな彼らの間にも「先住民」の伝説が存在するという。チェロキー族が「月の眼を持つ人々(The Moon-Eyed People)」と呼び語り継いだ幻の部族とは、一体どのような人々だったのか。

“月の眼”を持つ幻の部族「ムーンアイドピープル」の謎 ― 真っ白な肌と髪、大きな青い目… アルビノ族か、エイリアンか
(画像=Created with DALL·E,『TOCANA』より 引用)

■月の目を持つ人々

 現在の米国東部ノースカロライナ州は、ヨーロッパ人による植民地化以前はチェロキー族の人々が暮らす土地であった。だがチェロキー族の伝承によると、彼らがやってくる前からこの土地に居住していた部族がいた。彼らはアパラチア山脈の深い森の中に住み、石膏像のように真っ白な肌と髪、大きな青い目を持ち、顔にはひげを生やしていたという。小さな体をした夜行性の部族で、昼間は太陽を避けるように洞窟に隠れ、日が沈んでから森の中を歩き回っていた。太陽光より月光の下で活動するのに適した青い目を持っていたことから、チェロキー族は彼らを「月の目を持つ人々(The Moon-Eyed People)」と呼んだ。

 ムーンアイドピープルは長くその土地を支配していたが、やってきたチェロキー族との戦いに負けて追放されたという。伝承によれば、チェロキー族は彼らの洞窟の前で朝が来るのを待ち、太陽で目が見えなくなったところを攻めたとされる。同様の伝承は現在のテネシー州やジョージア州周辺に居住していたクリーク族にも残っているそうだ。

“月の眼”を持つ幻の部族「ムーンアイドピープル」の謎 ― 真っ白な肌と髪、大きな青い目… アルビノ族か、エイリアンか
(画像=フォートマウンテンの遺跡。画像は「Wikipedia」より引用,『TOCANA』より 引用)

 この不思議な伝承を裏付けるようにノースカロライナ州やジョージア州、アラバマ州などアパラチア山脈の麓には古い遺跡が残っている。特に有名なのがジョージア州のフォートマウンテン国立公園に残る砦の遺跡で、西暦500年頃のものとみられている。