自民党総裁選の候補者で「社会保障制度改革に熱心な候補がいない!」という書き込みがX(Twitter)上で話題になっていました。

まあマスコミ報道がまとめた「主な政策」に対するものですので、細かく見ていけば社会保障制度改革に対する関心の強弱はあるのだと思いますが、総裁選で年金や医療などが議論の「中心」になる可能性は残念ながら低そうです…。

ごく最近、とある有識者の方と政策談義をしていて

「次の衆院選挙では、医療や年金などの社会保障制度改革を全面に押し出して闘いたい」

と伝えたところ、「主張は正しいとしても、強調しすぎるのはやめておいたほうが良い」とかなり強く諌められました。いわく、社会保障制度、とりわけ年金制度は政治家・政党に取って鬼門だと。

ここに触れた政治家・政党は近年、みな残念な末路を辿っているのだと。

第一次安倍政権は「消えた年金問題」が主な理由の一つとなって支持率が激減し、総退陣のきっかけとなりました。

続く民主党政権は年金制度の抜本改革を高らかに打ち出しましたが、道半ばで頓挫。わずか3年あまりで政権運営と年金改革の夢は打ち切られました。

直近では、前回の総裁選で河野太郎大臣が唐突に年金改革を主張し、基礎年金部分を消費税で賄う構想をぶち上げたものの、猛批判に晒されて総裁選では涙をのむ結果となりました。

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確かにこのような結果も含めて、年金制度改革を訴えて世論や支援者の理解を得るというのは極めて困難なことは事実でしょう。

世論調査の「関心のある政策」に年金は常に上位に上がる一方で、それは改革への期待というより

「ちゃんともらえるようにして欲しい」

という漠然とした要望という側面が強く、リスクや痛みを伴う改革を提案すれば途端に嫌厭される可能性が高いのだと思います。

また年金はあまりにも長期に渡る制度設計のため、政治家台として認識されながらも、先送りしやすい性質を持っていることも相まって、結局、問題意識は多くの人がもちながらもここまで、現状維持と微修正を繰り返してきました。