ところが、原油の国際価格が下落し始めると、キューバと同じく、国内の産業の発展を図って来なかったベネズエラの経済は次第に後退して行った。また、マドゥロ氏が大統領になれたのも、キューバ政権が工作した結果である。それを知っているマドゥロ大統領は国の経済が後退する中でも、キューバへの原油の供給を嘗てほどの量ではないが続けている。

原油だけの輸出に依存して来たベネズエラでは原油価格の下落と、さらに多くの企業の国営化から赤字経営が目立つようになり、ベネズエラ経済は深刻な後退を余儀なくさせられた。700万人以上が国外に脱出し、同じく700万人が極貧に喘いでいる。それでも、マドゥロ氏はキューバに原油を送っているのである。

いかさま選挙でポストを維持したマドゥロであるが

このような事態の中、今回の大統領選挙でマドゥロ氏が勝利したというのは国内外で偽りであるというのが実証されつつある。国内で市民の抗議デモがさらに発展すると軍部からもそれに同調する動きが起きるかもしれない。

今後の成り行きは全く不明である。しかし、確かなことはマドゥロ大統領の政権放棄は時間の問題になりつつある。そうなると、キューバはまたソ連が崩壊した時と同じような事態に追い込まれることになるであろう。

そうでなくても、70%の食料を輸入に頼っているキューバでは外貨不足で食料が輸入できない状態にある。それに加えて、救世主であるマドゥロ大統領の政権が崩壊する事態になると、キューバの国家そのものが危機に見舞われ、政権維持に困難を伴う事態が発生するであろう。