【最新モデル試乗】SUVも個性が大切。鮮烈クーペ造形が発散するX2のBMWイズム
(画像=BMW X2 xドライブ20i Mスポーツ/価格:7DCT 628万円。X2は2リッターガソリンの20i(204ps)/M35i(317ps)とBEVのiX2 xドライブ30(200kW)を設定駆動方式は全車4WD、『CAR and DRIVER』より 引用)

2代目は日本でワールドプレミア。デザインを楽しむSUV

 昨年秋のジャパンモビリティショー2023で、2代目となる新型X2が世界初披露された。なんと、ワールドプレミアの場として日本が選ばれたのだ。タイミング的にちょうどよかった、という理由だけではない。BMWにとって日本はコンパクトセグメントの重要な市場であり、初代X2の販売が非常に好調だったからである。

 試乗車は、いちはやく納車の始まったxDrive20i Mスポーツ。X2のベース車ともいえるX1は、2023-2024インポート・カー・オブ・ザイヤーに輝いた実力車。X2がどのように特徴づけられているのか興味深い。X1は上級機種をしのぐほどの車格感の持ち主。X2も兄貴分のX4に負けない存在感を発揮している。BMW・Xモデルらしい力強さとSAC(スポーツアクティビティクーペ)ならではスポーティさが凝縮したクーペフォルムは印象的だ。

【最新モデル試乗】SUVも個性が大切。鮮烈クーペ造形が発散するX2のBMWイズム
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【最新モデル試乗】SUVも個性が大切。鮮烈クーペ造形が発散するX2のBMWイズム
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 X1と主要アーキテクチャーは共通ながら同じ個所を探すのが難しいくらい作り分けられており、大きなキドニーグリルが際立って見えるアイコニックグローはX2専用。リア回りのランプ類もオリジナルだ。

 クーペながら後席や荷室スペースが十分に確保されているところはX2の美点。横から見るとサイドウィンドウの形状が後方にいくにしたがい上下とも狭められている。だがルーフラインの高さはキープ。後席は身長175㎝のパッセンジャーが座っても頭上に余裕がある。荷室も余裕たっぷり。通常時で560リッターという容量はX1より20リッターも大きい。リアシートを倒すと1470リッターに拡大する。アウトドアアクティビティに積極的なユーザーも満足できそうだ。  ボディサイズは4555×1845×1575mm。全幅はX1に対して10mmワイドだが、1850mmを超えなかった点は歓迎できる。

 インテリアはユーザーインターフェースの大幅なデジタル化が図られている。メーターパネルとコントロールディスプレイを一体化したBMWカーブドディスプレイを採用。センターアームレストに、iDriveコントローラーやシフトレバーを含めて操作系を集約した。これによりすっきりとモダンな空間を実現している。

【最新モデル試乗】SUVも個性が大切。鮮烈クーペ造形が発散するX2のBMWイズム
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【最新モデル試乗】SUVも個性が大切。鮮烈クーペ造形が発散するX2のBMWイズム
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

走りはスポーティなキャラクター。BMWらしい走りのテイストがうれしい

 走りはクーペらしくスポーティな味わい。X1は万人向けの快適な乗り味を重視したのに対し、X2は一体感を重視したドライビングダイナミクスを追求している。2車の違いは、乗れば誰もが実感できる。

 全域でパワフルな印象の2リッターターボ(204ps/300Nm)のパワートレーンに大きな違いはないが、ハンドリングは別物。反応が適度に穏やかでゆったりと乗れるX1に対し、X2はキビキビとしている。全体的に切れ味鋭く味付けされている。足回りが締め上げられているとはいえ、乗り心地は悪くない。初代X2は乗り心地の硬さに閉口した。2代目はスポーティながら快適性もハイレベルだ。

【最新モデル試乗】SUVも個性が大切。鮮烈クーペ造形が発散するX2のBMWイズム
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 サスペンションは初期からよく動き、路面の凹凸を上手にいなしてくれる。フラットな姿勢を保ちながらも後席を含め乗り心地は快適。BMWらしいテイストが存分に味わえるのがうれしい。

 そうなるとメカニズム面で共通性の高いMINIカントリーマンとの違いも気になるところ。xDrive20iのガソリンエンジンはS ALL4と同じスペックで、X1と同様にマイルドハイブリッド機構は付かない。トルクフルなエンジンのおかげで1.7トン近い車体でも力不足を感じることはない。しかもX2は左側のパドルシフトを長引きするとスポーツブースト機能により10秒間限定で最大パワーを発揮する。伸びやかで力強いスペシャルな加速が味わえるのはX2だけの魅力だ。

 足回りではタイヤの銘柄とサイズが違う。外径はほぼ同じながらサイドウォールの厚みが異なる。MINIの伝統であるゴーカートフィールとBMWのSACとしてのスポーティさを表現した走りは、いずれも俊敏さが際立つ。ただしMINIのほうが一段と思い切っている印象を受けた。

 完成度の高い電子制御ダンパーも効いて、どちらも俊敏なハンドリングと快適な乗り心地を巧みに両立。コーナリングでのロールもほどよく抑えられている。2車では、ときおり硬さを感じるシチュエーションが異なり、サイドの薄いタイヤを履くX2のほうが衝撃や振動がいくぶん気にならないように感じられた。どちらも足回りは強化されているが、X2のほうが全般的に大人っぽい印象である。優れた快適性には、ホールド性が高くクッション感のあるX2のシートが貢献している。

【最新モデル試乗】SUVも個性が大切。鮮烈クーペ造形が発散するX2のBMWイズム
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 X2もMINIほど多彩ではないが走行モードが選べる。高速道路を巡行する際には、パーソナルモードよりも、一段とダンピングが効くスポーツモードのほうがマッチングがよいように感じた。  X2はX1に対してはもちろん、MINIカントリーマンに対しても、巧みに棲み分けられている。その高い完成度は実に魅力的。初代と同様、日本で人気者になるに違いない。