「綾瀬駅東口近くにあった銀行ATMがなんと立ち食いラーメン屋に」

ー趣味で始めたのに毎日行列、脱サラ成功ー

「あるはずのATMが…ない」というびっくり体験をしたことがある人はきっといるはずです。今回の記事では「どうしてATMが減り続けているのか」考えてみたいと思います。ATM跡地の意外な活用法についても紹介しましょう。

銀行ATMが減っている

まず、ATMがどれだけ減っているのかという話から入りましょう。一般社団法人全国銀行協会「2023年版 決済統計年報」によれば、2023年末時点での日本全国のATM設置台数は約8万6,000台とのことでした。2001年は11万7000台余りだったことを考えると、かなり減ってきているのがわかるでしょう。

ATMはなぜ消えた?

至る所にあり、お金を引き出すのにはとっても便利だったATM。なぜ減ってきているのでしょうか。

一つはキャッシュレス決済やネットバンキングの普及です。今、ATMから現金を引き出す機会が減っている方も多いでしょう。利用頻度も影響しているようです。経済産業省の統計によれば、2010年にはわずか13.2%に過ぎなかったキャッシュレス決済の比率は、2022年には36.0%にまで上昇しています。郵便局などかつては現金しか使えなかった場所でも、今は問題なくキャッシュレス決済ができるので、極論現金を使わなくても生活できることが、ATMの減少にもつながっているでしょう。

もう一つの理由は設置コストです。ATM1台の価格は300万円ほど。また管理費や維持費もかかります。キャッシュレス決済やネットバンキングの普及により、ATMを利用する機会が減っていけば、コストをかけて多くの場所に設置する必要がなくなってくるのです。

ATM跡地の意外な活用法

「小スペースでの開業にはATM跡地が狙い目」とSNSで話題になったことがあるのをご存知でしょうか。

ATMが設置されている場所は駅前やエキナカ、商業施設がある場所など非常に人通りが多く、アクセスがいい、という特徴があります。また、ATMの跡地は小さいため、好立地で家賃を抑えての運営が可能です。小規模でできる飲食店やサービス業などの開業を考えている事業者にはちょうどよい物件かもしれません。

綾瀬駅東口近くにあった銀行ATMコーナー跡地がなんとラーメン屋さんになるなど、ATM跡地を改造して改行する賢い経営者が増えているようです。

数年後にはATMも通帳も消滅する?

断言こそできませんが、数年後にはATMも通帳も消滅するかもしれません。前述したように、銀行などの金融機関は自社ATMを減らす方向で動いています。また関連して、紙の通帳を発行せず、アプリやWebサイトで代用する形に切り替えている金融機関は珍しくありません。

「料理に自信がある、いつかは自分の店をもちたい」というサラリーマンのあなた、いつも使う駅近のATMがねらい目かもしれません。

文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー)
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。

(2024年07月08日公開記事)