警察側はその後、同テロ計画に関与の疑いのあるイラク人の18歳とトルコ系の15歳の男性を事情聴取するなど、テロ計画の全容解明に取りかかってきた。その矢先、主犯の19歳の男性が拘束直後の自白を覆したのだ。

弁護士のイナ=クリスティン・スティグリッツ氏は、9日に行われた勾留審問に際しての面会で、依頼人が①ISを支持していないし、テロ攻撃も計画していない、②自宅から押収された爆弾製造用の化学物質についても、インターネットで爆弾の製造の仕方を知ったので実験するためだ。コンサートの会場前でファンを襲撃するなどの考えはまったくなかった、と述べたという。

弁護士は「彼はただカッコよく見られたかっただけだ」というのだ。弁護士の話は11日、メディアで大きく報道された。

共犯者と見られるオーストリア人(トルコ系とクロアチア系の背景を持つ)の17歳の男性は、スタジアムの施設管理会社に数日前から雇われており、19歳の男性とは友人関係だが、テロや攻撃計画に関与していることを否定した。そのほか、18歳の男性はISに忠誠を宣言しているが、今回のテロ計画と直接関与がないことが判明。トルコ系の背景のある15歳は証人として事情聴取された、といった具合だ。

ちなみに、警察側の説明では、今回のテロ計画の情報は外国情報機関からのもので、スウィフト公演の数日前に得たという。その情報に基づき、警察側は7日、19歳の自宅などを家宅調査して、テロ計画の主犯として逮捕したわけだ。

弁護士によると、19歳の男性はインターネットでISの思想に触れ、興味を持ったが、それに同調することはなかったといっている。ただし、ソーシャルネットワーク上で複数の宗教指導者をフォローしていたことを認めた。ISへの忠誠誓いを行い、それを送信したことについて、「ただカッコよく見られたかっただけだ」と述べたという。弁護士は「彼が攻撃を計画するとは考えられない、子供のように未熟で無知だった」と付け加えている。