「人生は楽しく生きてりゃどうにかなる」

10代20代のうちはいいですが、50代、60代を超えたとき、この言葉は美しく聞こえるでしょうか。

元税理士事務所で経理を担当してきた筆者は、老後破産してしまう人の口癖をよく知っています。

今回は、「老後破産に近づく」3つの口癖を紹介します。

老後破産に近づく口癖「人生は楽しく生きてりゃどうにかなる」

「人生は楽しく生きてりゃどうにかなる」

計画に追いつめられると、この言葉を発する人がいました。素敵な言葉ですが、計画が全くないのは危険です。人生はときとして思い通りにいかないことが起こります。今の気力体力が永遠に続くわけでないのです。老後破産に陥らないようにするためには、事前にライフプランを立てておきましょう。老後にもらえる年金はいくらか、生活費はいくら必要なのか、算出します。

年金で生活費をカバーできればいいですが、できない場合は不足分を現役時代に貯めておくのが望ましいです。老後になってから収入を得るのは難しいので、なるべく多めに見積もりましょう。

「ここ俺がもつから、なんでも好きなもの食べな」

「ここ俺がもつから、なんでも好きなもの食べな」

会計時にすぐこういう男性もいました。

気前がいいのは良いことですが、毎回だとしたら、注意が必要です。

見栄を張る人は、必要以上に高価なものやブランド品を購入してしまう傾向があります。周りの人から「すごいね」と褒められることを喜びとし、身の丈に合わない生活を送ってしまうのです。見栄っ張りは、今の生活を苦しめるだけでなく、老後の生活を脅かす危険性もあります。

現役時代から、自分の価値観を大切にして、自分が本当に良いと思うものを選びましょう。

収入に見合わないお金の使い方をしていると、老後資金を残せなくなるためです。ブランド品や外食、旅行など贅沢したい気持ちはわかりますが、浪費癖がつけば老後も苦労することになります。

「給料はいった、飲みに行こう」

「給料はいった、飲みに行こう」

会社員時代こういう人を一部見てきました。

給料日を「お金を使っていい日」と考えている人は危険度が大きいです。その考え方は計画的な貯蓄を妨げ、無駄遣いを誘発します。今を楽しむことは大事ですが、無計画な消費習慣は老後破産を招きます。

貯蓄の習慣がない、どうしても貯金できない、という人は「強制的な先取り貯金」 を取り入れてみましょう。具体的に、「収入のうち一定額を貯蓄として取り分け、残りで生活費をやりくりする」ことです。貯蓄用の口座に入れたお金に手を付けないようにすれば、だんだんと貯まっていきます。

銀行によっては自動振込サービスが使えることもあるので、給与口座など収入が入ってくる口座から貯蓄用口座へ振り込まれるようにしておくと非常に楽です。

老後資金の効率的な準備方法とは

老後資金を準備するために貯金をすること自体に問題はありませんが、より効率的に準備したいならNISAやiDeCoも使いましょう。

NISAとは少額投資非課税制度のことで、専用の口座を通じて一定の条件を満たす形で投資信託や株式などの金融商品に投資すれば、運用益・配当・売却益に税金がかからなくなる制度です。

一方、iDeCoとは個人型確定拠出年金のことで、毎月一定額の掛金を拠出したうえで運用し、60歳以降になったら一時金か年金、もしくは両方を併用する形で受け取る制度を指します。

iDeCoはどちらかといえば老後資金の積み立てに特化した制度であるため、子どもの教育資金など幅広い目的に使いたいならNISAを検討しましょう。

※新NISAを始めようかな?という人、ぜひこちらの記事を参考にしてください。

新NISAで月1,000円投資するのは意味ない?20年後のシミュレーションや少額投資のメリットデメリット | fuelle

文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー)
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。

(2024年06月05日公開記事)