北アメリカ大陸最大の火山地帯、イエローストーン火山が60万年ぶりの噴火に向けて動き出しているのか――。先日には火山帯の間欠泉が180メートル上空まで吹きあがり、観光客をパニックに陥れている。
■イエローストーン火山の噴火、2つのシナリオ
現地時間7月23日火曜日午前10時、イエローストーン国立公園にある間欠泉「ビスケット窪地(Biscuit Basin)」から沸騰した水と高温に熱せられた岩石片が空高く舞い上がった。驚いた観光客は命からがらその場を離れたという。
地質学者たちはこの一件を「通常の出来事」とみなしているが、一方でこの超巨大火山、イエローストーン火山が60万年の眠りから目覚めるのではないかという新たな懸念を引き起こしている。
もしも今、イエローストーン火山が噴火したらどうなるのか。
イエローストーン火山観測所の主任科学者マイケル・ポーランド氏は、もし「超大噴火」が起きれば数千人の命を奪い、アメリカの複数の州に溶岩、岩石、高温ガスの「火砕流」が降り注き、積った灰は水源、農業、電力網に深刻な被害を及ぼすと英紙「Daily Mail」に話す。しかしポーランド氏はこの出来事が「人類の終焉」を意味することはないと指摘している。
イエローストーン火山の噴火の確率は、どの年でも70万分の1で起き得るとの説もあるが、もしイエローストーンが今噴火した場合、2つのシナリオが考えられるという。
●シナリオ1:単発の大噴火のケース
火山が1回きりの「ビッグバン」で噴火した場合、一説ではその爆発はTNT火薬換算で87万5000メガトンに相当する可能性があるといわれている。この噴火による圧力波で数千人が死亡し、北米大陸の大部分が最大30センチの灰で覆われる可能性がある。
火山付近の地域は、焼けつくような「火砕流」によって壊滅的な被害を受け、国立公園を取り囲むモンタナ州、アイダホ州、ワイオミング州なども危険にさらされる。
「灰は信じられないほど重い、粉砕された岩です。屋根などに積もってほしくないし、人々はその影響を軽減するために努力しなければならないでしょう」(ポーランド氏)
●シナリオ2:噴火が連続するケース
イエローストーン火山の過去の噴火が1回の「ビッグバン」ではなく、一連の噴火であったことも最近の調査から示唆されているという。
一連の小規模な噴火はイエローストーンから半径200キロメートル以内の地域を壊滅させるだろうとポーランド氏は説明する。
「これらの連続噴火による灰は畑を覆い、電線を破壊し、建物を倒壊させ、致命的な灰の“吹き溜まり”によって救助作業が難航するでしょう」(ポーランド氏)
ユタ州ソルトレークシティ、アイダホ州ボイシ、モンタナ州ミズーラなど、噴火に近い地域は90センチ以上の灰で覆われるということだ。
7月23日の間欠泉の噴出で国立公園局は、地質学者が調査する間、ビスケット窪地へのすべてのアクセスを閉鎖したのだが、ひょっとすると大噴火は近いということなのだろうか。
ポーランド氏によれば、現時点でイエローストーンの「マグマシステム」はほぼ固まっているように見えることから、火山活動が活発になっている兆候はないという。
「確率が意味を成すためには条件が整っていなければなりません。…(中略)…噴火の条件が整っていません。今年の噴火の可能性は、本当にゼロに近いです」(ポーランド氏)
イエローストーン火山がアメリカの国立公園として象徴的な地位にあるため、特に人々は噴火を恐れているが、噴火する可能性がはるかに高い火山がほかにもっとあるということだ。
イエローストーン火山についてはまずはホッと一安心ということになりそうだが、世界中、そして日本にも活火山はいたるところに存在している。これまで通り災害への備えを怠ってはならないことはいうまでもない。
参考:「Daily Mail」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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