距離感の違い

そして人間関係を築く上で、相手との距離感は非常に難しい。

筆者のように「お互いに楽しいと感じる、わかりあえる部分だけで付き合う。合わない部分は出さない」とドライな人もいれば、「嫌なことも含めて何でも言い合える間柄を」とウェットな付き合いを好む人もいる。両者は決して交わることはない。どちらがいい、悪いと断じることはできず、相手との距離感が違うとそこで関係性が終わってしまう難しさがある。

実際、知り合ったばかりでいきなりヘビーなトラウマ話を涙ながらに吐露されてしまう場合などがあり、そうした時に自分は狼狽えてしまう。おそらく先方は相手とウェットな関係を望んでおり、誰かにしっかりと自分の話を聞いてもらいたかったのだろう。

そのような意図は良く理解できるつもりだし、自分としても、ある程度信頼関係ができ、お互いのことを理解した上での話なら冷静に聞くことができる。だが「はじめまして」で程なくしていきなり近距離になると、不器用な筆者のようなものはどう振る舞っていいかがわからず、フリーズしてしまうのである。

40代以降となると、距離感の難しさを相互認識しており、かつ慎重な距離感を図る過程で仲良くなる前の段階でなんとなく終わってしまう事が多いだろう。

だが若い人は違う。良くも悪くも、距離感をあまり考えないから友達がすぐできる。自分が子供の園や学校へいくと、子どもたちはフランクな話題でよく話しかけてくる。「その服変なのー!」「食べ物は何が好き?」と距離感を意識せずゼロ距離で接してくる。それが嬉しくて自分も同じように「給食は何が一番好き?」「一番好きな教科はなに?」といった具合に対応するようにしている。子供同士はとても気楽で、お互いに盛り上がる話題が見つかればすぐ仲良くなるのだろうなとわかる。

大人になると自然に新規の友達は減って、「利害関係者と家族100%」となってしまう人は多い。人間は社会的な動物であり、誰とも関わらずに生きていくことは難しいが、中年以降は人間関係が減っていく一方になる難しさがある。

 

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