そのうえでで結論から申し上げると、私はこの追加公約は極めて筋が悪いと思います。

まず、都民投票で「再開発反対」という結果が出た場合、民間事業者から東京都に対して巨額の損害賠償請求が行われる可能性があります。

再開発プロジェクトは多くの民間資本が投入されており、東京都が認可した上で進めてきた計画を、その東京都が手のひらを返して中止させるようなことになれば、当然に事業者側としては損害賠償をせざるを得なくなるでしょう。

行政の連続性を考慮すると、既に進行中のプロジェクトを都民投票で覆すことは、法的にも経済的にも不適切です。

また蓮舫候補は「都民投票は都条例を作って行う」と主張していますが、現在の議会構成を鑑みると、再開発の是非を問う都条例が可決される極めて可能性は低いと言わざるを得ません。

都議会の多数派は再開発容認派であり、この公約が現実的に実行される見込みはほとんどありません。

したがって、こうした公約は選挙戦術としては有効かもしれませんが、実際には不誠実であり、一部の支援者を誤導するものであると言えます。

そもそも神宮外苑再開発のほとんどは民間事業者マターであり、築地・豊洲でお重めした中央卸売市場とも粒度がまったく違う上に、どれだけの都民が関心を持っているテーマなのかも不透明です。

ここを「追加公約」にあげる蓮舫候補は、支援団体などの事情などあるのでしょうが、現実的にも選挙戦略としても悪手なのではないでしょうか。

選挙戦も後半戦、様々な点から公約の分析が行われ、議論が深まることを期待し、また私も検討していきます。

編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2024年7月2日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。