<TOP画像:会いたかった柑橘たち>
野菜ソムリエの私が旅に出ようと思う時は、「気になる農産物の生育を見たい」とか、「それらを育てている生産者にお話を聞きたい」ということから始まります。
地図を広げてアクセスを確認し、周辺の観光情報を収集して旅のプランを固めていきます。今回は、熊本を旅しました。
目次
今回、旅のきっかけ!
元気をもらえるオレンジ色!
天草にも足を延ばしました!
「くまモン」大活躍!
もちろん、いろいろ食べましたよ!
今回、旅のきっかけ!
北海道は気候の関係で、柿やミカンなどのオレンジ色の果物は栽培されていません(趣味的に栽培している人を除く)。だから、個人的に柑橘を収穫することがずっと憧れだったんです。
一度はコロナ禍で流れてしまった熊本への旅。昨年末に再度練り直して実現しました。3年越しの夢です。今回その夢を叶えさせてくれたのが、同じ野菜ソムリエ仲間で熊本県植木の宮本果樹園の宮本好美さんです。
せっかく北海道から行くのですから、2日間くらいはガッツリ収穫のお手伝いをされていただいてから観光したいと考えていました。他地域の野菜ソムリエさんたちにもお声がけして宮本果樹園に集合しました。
<野菜ソムリエ仲間とブラッドオレンジの木の前でパチリ>
そう、今回の私の旅のきっかけとなったのは「柑橘たち」! そして、足を延ばして、祖母の故郷の天草にも行きました!?
元気をもらえるオレンジ色!
到着したのは19時ころだったので、その日は外食してそのまま宮本宅にお泊り!
翌日は、念願だった収穫作業を1日中させていただくことができました。私が大好きなブラッドオレンジの収穫です。なぜ、1日中? それは、忙しい生産者さんからいろいろ聞くには作業しながらが一番いいから。
ヘタの切り方を教わり、取ったものを収穫袋に入れ、それらをまとめているケースまで運び、ひとまとめにします。そして、また戻って同じ作業をする。単調な作業の繰り返しです。
<ブラッドオレンジはまず木から切り取り、さらにヘタのギリギリを切って収穫します(二度切り)>
実がたくさん入った収穫袋は肩に食い込むほど重く、何度も収穫カゴのところに移動して足が疲れてきますが、ケースに入れる際など、オレンジ色の実を見ているとその疲れなども吹っ飛びます。オレンジ色というのは肉体的にも精神的にも元気にする力を秘めているようです。
<集められたケース。昼前に一度、倉庫に運び、また午後からも同様の作業をしました>
宮本果樹園の休憩タイム。午前中の休憩では柑橘の味見を兼ねておやつにいただきます。私からしたら贅沢なおやつ!
<休憩時に大きすぎるハネたデコポンをいただきました!>
昼食後も再開して、この日はみんなでハウス1棟分のブラッドオレンジすべてを収穫しました。充実感いっぱいです。
夜は、宮本さん宅のSNSで見ていて謎だった料理を食べることに挑戦!
<見た目は「けんちん汁?」>
わかります? 見た目は「けんちん汁」みたいに見えますね。
説明はとても難しいのですが、この地域で食べ継がれている「馬肉が入ったお雑煮」です。馬肉のほかに、戻した椎茸と昆布、するめ、ちくわ、かまぼこ、ネギ、ニンジン、サトイモなどが入っています。出汁が出るものが多いので、これだけで十分美味しいものなのですが、この地域では、ここに4cmくらいの丸餅を加えて煮ます。
そして、まずは具と汁を器に入れ、それを食べます。
<取り分けます>
その間に、別の碗に納豆を加えておきます。
<碗に納豆を入れておきます>
その納豆をどうする? アンビリバボー。
砂糖を大さじ3加えてよく混ぜます。混ぜていると、普段食べるような感じでなく、ちょっと白く硬くなってきます。
えっ? 納豆に砂糖? 大さじ3も? ですよね。
そこに、丸餅だけを加えて一緒に食べるのです。
恐る恐る食べてみましたが、「ダメじゃない」。むしろ、「新鮮!」。甘納豆を絡めたお餅を食べている感じです。
きっと昔は、砂糖はとても貴重なもので、ハレの日のお正月だからたくさん使っても許されたからではないかと想像します。少し塩分を含めた餅が甘い納豆と意外に合います。食事系とデザート系が一緒になった食べ物だと理解すればあり得ます。貴重な体験をしました!
翌日はデコポン(宮本果樹園では「肥の豊」というブランド名で栽培しています)を収穫。ハウスに入ってみてビックリしたのは、「肥の豊」がぶらりと下がっている姿。
<オレンジ色の袋がぶらりと下がっているみたい>
ブラッドオレンジは二度切りでしたが、「肥の豊」は葉っぱを2、3枚残したところで茎を切ります。これが意外に難しい。まっすぐ下がっている実はいいのですが、たまによじれているものもあったり、葉っぱの位置が実のすぐ近くにまとまって生えていたり。
そのうえ、大きいから重いうえに、袋に入れた際に切った茎で実を傷つけないように入れて運ぶのも大変。ブラッドオレンジよりは無理してたくさん入れてもいいけれども、「火の豊」はそんなに入れることはできない。何度も何度も収穫籠のところに足を運びます。
<長く切った茎で実を傷つけないように詰めて運ぶのが大変>
<ていねいにケースに入れます>
長時間収穫作業をすることで、ちょっと切っただけではわからないこと、そして、自分なりに感じて、ほかの人にそのことを伝えることができるくらいに知る体験、そして何よりも産地だからこその美味しさなどをたくさん教えてもらいました。できたら、次は1年を通してどんなふうに実になっていくのかを学びたいと思いました。
宮本果樹園 基本情報
- 柑橘のご用命は公式サイトから。ただし、シーズンによって収穫できる柑橘が異なります
天草にも足を延ばしました!
翌日は、さらにメンバーが増えてグレープフルーツの木の前で記念撮影!
<グレープフルーツを手にハイポーズ!>
ここからは2グループに分かれて。私は、熊本在住の友人の運転で、念願の天草へ。
なぜ念願かというと、私の祖母の出身が天草だから。もう亡くなってずいぶん経つのですが、祖母が子どもの時に育った場所には一度足を踏み入れてみたかった!
1泊2日の旅、2日間ともお天気にも恵まれて。
まずは、天草に向かう途中の宇城市にある「デコポン発祥の地」の碑を見に行きました。その碑があるのは、「道の駅 不知火(しらぬい)」。
宇城市は、「ポンカン」と「清美」というミカンの交配で生まれた「デコポン」発祥の地なのです。実は「ポンカン」というのは、後から付けられた名前で、誕生した昭和47年の時は、地名である「不知火」という名前でした。
<「デコポン発祥の地」の碑>
デコポン発祥の地の碑の情報
住所:熊本県宇城市不知火町永尾1910-1 不知火温泉ふるさと交流センター 物産館(道の駅)敷地内
その後は、三角大矢野道路を渡って天草上島方面へ。1日目は直売所などをメインに回って、地域の食材探検。どこも柑橘類の多さにはびっくりです。
<道の駅には驚くほど多くの種類の柑橘があります>
海の幸、山の幸もたくさんいただきました。
2日目は主に天草下島で、歴史に触れる旅を堪能。「隠れキリシタン」の地の歴史などに触れました。
<天草で最も早く建てられた「大江教会」。青い空に白い教会が映えます>
<潜伏キリシタン関連遺産の「天草の﨑津集落」を象徴する「﨑津教会」>
大江教会の情報
- 住所:熊本県天草市天草町大江1782
- TEL:0969-22-2243((一社)天草宝島観光協会)
- 開館時間:9:00~17:00(協会の事情により休館する場合があります)
- 料金:無料
﨑津教会
- 住所:熊本県天草市河浦町﨑津539
- TEL:0969-78-6000(﨑津集落ガイダンスセンター)
- 開館時間:9:00~17:00(協会の事情により休館する場合があります)
- 料金:無料
「くまモン」大活躍!
「熊本といえば〇〇」。人によってイメージするは異なるでしょう。「熊本といえば熊本城」と思う人も多いはず!
私は仲間たちと別れたあとは、熊本市中心街も堪能しました。早めにホテルに行き、荷物を預けて、まずは熊本城へ。すごい!
<築城約400年。圧倒的な存在感の熊本城>
何かすごいかというと、城の大きさはもちろんですが、あたかも自分がその時代にいるような気持ちにさせる展示、そして何よりも、2016年4月に発生したマグニチュード6.5、最大震度7の大地震の被害の修復をしている様子も見ることができます。
<崩れている塀や石垣を修復している様子も見ることができます>
この熊本城の完全復旧は2052年だといわれています。天守閣のうち大天守の外観は2019年秋に、天守閣全体は2021年6月に完全復旧するなど、多くの人の力と知恵、そして長い時をかけて、日本三名城のひとつの「熊本城」に、今日も修復作業が行われています。
熊本県民は、この城の主・加藤清正のことを親しみ持って、「清正公(せいしょこ)さん」と呼んでいます。愛すべき君主だったのですね。
<県民に愛されている加藤清正の像>
県民に愛されている清正公。私が宿泊した「OMO熊本 by 星野リゾート」の夜限定オリジナルカクテルとスイーツのも登場。清正に由来のある「清正人参」と呼ばれるセロリを合わせたカクテルが美味。
<夜限定のオリジナルカクテルとスイーツ「清正公乾杯セット」>
熊本城へは、余裕をもって最低2時間は確保してゆっくりと見て欲しいです。
熊本城の情報
- 住所:熊本市中央区本丸1-1
- TEL:096-352-5900(熊本城総合事務所)
- 開館時間:9:00~17:00(入園は16:30まで)
- 「熊本博物館」の休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日
- 料金:併設施設などによって異なるため、公式サイトでご確認ください。
OMO5熊本 by 星野リゾート
- 住所:熊本県熊本市中央区手取本町5-1
- TEL:050-3134-8095(OMO 予約センター)
また、熊本といえば「くまモン」。くまモンは"熊本県の営業部長兼しあわせ部長"なのです。空港にも道の駅にもいましたし、さまざまなお土産品や商品にもくまモンの顔がありました。
<熊本空港にもくまモン>
<お土産のお菓子にもくまモン>
市電「水道町駅」近くにある「くまモンスクエア」も大変賑わっていました。グッズやお土産品はもちろん、「くまモン営業部長室」や軽食コーナーもあります。
<老若男女が楽しめる「くまモンスクエア」>
くまモンスクエア
- 住所:熊本県熊本市中央区取本町8⁻2くまもとビル1F
- TEL:096-327-9066
- 営業時間:10:00~19:00
- 定休日:年末年始
- 入場料:無料
ところで、「くまモン学」というものが、あるのですが、ご存知でしょうか?
2024年2月24日、「尚絅大学・尚絅大学短期大学部」の九品寺キャンパスにおいて、2023年度「くまモン学研究会」が初めて開催。「くまモンのブランディングについて一緒に語る」をテーマに学生たちの学びの成果発表と全国の研究者によるセッションが行われましたとのこと。
その際に、各大学教授から「くまモンとウェルネス」や「会計学からくまモンの果たすべき役割」、「くまモンのこれまでとこれから」などの報告があったそう。今年度も「くまモン学」はさらに広がっていくそうです。
くまモン、すごい!
もちろん、いろいろ食べましたよ!
「熊本といえば馬肉料理」と思う人も多いのでは? 熊本県は馬肉生産が全国1位。熊本の馬肉文化は加藤清正に始まると言われています。定番は馬刺しですが、私は、生の肉が苦手なので、馬すじ煮込みと辛子レンコンと鯛わた塩辛、イモ焼酎と地酒をいただきました。
<牛すじならぬ馬すじ煮込みは意外にさっぱりとして美味しかった!>
熊本ラーメンや大平燕(タイピーエン)なども食べましたよ!
<「一文字ぐるぐる」という葉ネギをさっと茹でてぐるぐると巻きつけた郷土料理>
<焦がしたり揚げたりしたニンニクチップなどがトッピングされた熊本ラーメン>
<海鮮や肉、野菜が入った春雨麺を使ったメニュー。学校給食にも出るソウルフードです>
北海道から熊本への旅。仲間もたくさん集まったので、情報盛りだくさんになりました。
本当はもっともっと紹介しきれないくらいに楽しいことがたくさんありました!
見どころ満載! 美味しいものもいっぱい! 楽しい熊本への旅をおすすめします。
文・写真・吉川雅子/提供元・たびこふれ
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