トヨタGAZOOレーシングは2024年8月1日、アメリカ・カリフォルニアで改良されたGRカローラを発表した。現時点でこのGRカローラは、アメリカ向け仕様とされており、他地域への導入は検討中とされている。
GRカローラは、2022年に導入され、カローラ・スポーツをベースに少量生産されるスーパースポーツ・モデルで、2023年にも改良を行なっている。
今回発表されたGRカローラ改良モデルは、スーパー耐久シリーズなどのモータースポーツ参戦で得られた知見を採用し、高速コーナーでの旋回性能、加速性能や冷却性能などを改良したほか、進化型GRヤリスにも採用した新開発のダイレクトシフト8速ATのGAZOO Racing Direct Automatic Transmission(GR-DAT)を追加設定している。
■主な改良点
サスペンションでは、前後のダンパーのリバウンド側にスプリングを内蔵することで、コーナリング時の車両姿勢を安定させ、リフト傾向にある内輪の接地荷重抜けを改善することで旋回中の車両安定性を向上。
また、リヤアクスルの回転中心となるボディ側のトレーリングアーム取付点の位置を上げることで加速時のリヤの沈み込み(スクァット)を低減。加速時のアクセル操作に対する車両姿勢変化を抑えることで、駆動力の応答性を向上させている。
リヤのコイルスプリングとスタビライザーのばね設定を見直し、それぞれのロール剛性の分担率を最適化することで、旋回時のリヤタイヤの接地性を向上させ、車両コントロール性を向上。
G16E-GTS型3気筒ターボエンジンは、中速域の過給圧アップにより中速域でのエンジントルクを現行モデルに対して30Nm増加させ、最大トルクを400Nmまで向上。
ステアリング系は、ステアリングコラムとインストルメントパネル・レインフォースの締結部に締結剛性の高い溝付ワッシャーボルトを採用。システム剛性を高めることで直進安定性とステアリング操作に対するダイレクト感を向上させている。
ABSは、限界領域でのコントロール性を向上。上下Gセンサーの情報により、ABS作動輪の接地荷重をモニタリングすることでABS作動時の安定した制動力を確保している。
また、シャシー部品の締結ボルトの一部に締結剛性の高い特別なボルトを採用。締結剛性を高めることで、ロワアームとロワボールジョイントの締結部はステアリング操作に対する応答性を、リヤダンパーとボディの締結部はステアリング操作に対するリヤのグリップ感を向上させている。
トランスミッションは、GRヤリスにも採用した、クイック変速ができる新開発8速ATのGR-DATを搭載。従来は減速度や車両速度などの車両状態に合わせて変速させていたが、よりドライバーの意図を反映するために、ブレーキの踏み込み方・抜き方、アクセル操作まで細かくモニタリングすることで、運転状況を先読みし、プロドライバーによるシフト操作と同じようなタイミングでのギヤ選択を実現している。
MTモデルでは、クラッチシステムのトータルレバー比やクラッチカバー、ターンオーバースプリングの荷重特性をチューニングすることで、クラッチペダルの操作性を向上。ピーク踏力を高めに設定し、踏みごたえのあるペダル操作フィーリングとし、ピーク踏力以降は、ペダルストロークでの踏力を減少させることでペダルの踏み切り感を向上させている。さらにスポーティな操作感となるようにクラッチ特性を最適化し、戻し側の荷重増加による足への追従性、半クラッチストロークの短縮による操作性を向上。
GR-DAT搭載車にはエンジン始動時の暖気促進も兼ねる水冷式ATFウォーマー&クーラーに加えて、空冷式ATFクーラーを標準装備。またスポーツ走行を考慮して、エンジン冷却を強化するためにサブラジエーターを設定している。
空冷式ATFクーラー前のロワグリルに冷却用の開口部を新設。またフロントバンパー側面のサイドダクトに空気の排出用開口を設けることで冷却用の空気をスムーズに排出できる構造としている。
また、より安定した制動力を確保するブレーキダクトを採用。フロントブレーキローターに直接風を導いて冷却効果を向上することで、ブレーキ温度の上昇を抑制できるようになっている。
バンパーコーナー部には安定的に小さな乱気流を発生させる小さな段差を設定し、バンパーコーナー部からの空気の剥離を抑制。冷却性能強化のため必要な各機構を追加しつつ、操縦安定性を確保している。バンパー部には空気をスムーズに排出するサイドダクトを追加。ATFクーラーから排出された空気がサイドの空気の流れを乱すことなく後方へ流れるよう計算された突起形状を採用している。
提供・AUTO PROVE
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