自動車の知能化・電動化に向けての連携取り組みが本格スタート！
日産自動車（以下、日産）と本田技研工業（以下、ホンダ）は、2024年8月1日、次世代ソフトウェアデファインドビークル（SDV）向けプラットフォーム領域において、基礎的要素技術の共同研究契約を締結。さらにこの戦略パートナーシップに新たに三菱自動車（以下、三菱）も参画することを発表した。
SDVとは、ソフトウェアの更新によってクルマの機能が進化するクルマの意味。すでに最新のクルマにはこの概念が導入されており、BEVを牽引する米国のテスラはその代表。クルマとテスラ社は通信によってリアルタイムに繋がっており、ソフトウェアのアップデートにより、つねにクルマが最新の状態に保たれるようになっている。
次世代のクルマの知能化・電動化にとってSDVは大きな意味を持ち、クルマの機能、魅力を左右する主要要素になる。現在、トヨタもSUBARU、スズキ、ダイハツ、マツダなどのパートナーとともに積極開発中だ。SDVの開発には、高度な技術と膨大なコスト、そして未来を見通す先見性＆アイデアが不可欠。もちろん開発・量産にあたっては、スケールメリットが重要なカギになる。日産、ホンダ、そして三菱は、それぞれの強みを活かすことで、新たな価値の創造と、事業の効率化を目指す。
今回の「次世代SDFプラットフォーム領域」の共同研究内容は以下になる。
１：次世代SDFプラットフォームに関する基礎的要素技術の共同研究
・知能化領域の要となる次世代SDFプラットフォームについて、基礎的要素技術の共同研究を行うことで合意。研究をスタート
・まず１年をめどに基礎研究を終えることを目指し、成果が出ればその後に量産開発の可能性を含めて検討
「戦略的パートナーシップ深化に関する覚書における協業領域」の合意内容は以下の４テーマ８点になる。
１：バッテリー領域
・EVのキーコンポーネントとなるバッテリーについて、両者間での仕様の共通化、相互供給など、短期および中長期的な視点で協業範囲を検討。各社のバッテリー技術やアセットを持ち寄ることで、個社の投資負担やリスクの分散、ボリュームメリットによるコストダウン効果だけでなく、高出力型から廉価型まで、幅広いバッテリーの選択肢を持つことを可能とする
・それぞれが供給を計画しているバッテリーが、どちらのクルマにも搭載できるようにすることを目指し、両社のEV向けバッテリーセル。モジュールの仕様について、中長期視野で共通化を図ることに基本合意
・ホンダとLGエナジーソリューションとの合弁会社「L-H Battery Company,Inc,」で生産されたEV用リチウムイオンバッテリーについて、2028年以降北米で、本バッテリーを日産に供給することを検討
２：e-Axle領域
・次世代EVに搭載を予定しているe-Axleについて、中長期的に仕様の共通化を目指していくことに基本合意
・その第一ステップとして、e-Axleの基幹領域となるモーター、インバーターを共用していくことで合意
３：車両の相互補完
・グローバルでそれぞれ販売するモデルについて、短期から中長期的な視野で車両の相互補完を検討。短期的な対応として、相互補完の対象とするモデル・地域に基本合意するとともに、両社合同での商品検討体制などのアウトラインに合意
・相互補完モデルは、ガソリン車やBEVなどを検討
４：国内のエネルギーサービス、資源循環領域
・充電、エネルギー機器や、バッテリーを活用したエネルギーサービス、充電サービスなど、国内におけるエネルギーサービス、資源循環領域についても、協業の可能性を検討することで合意
３社のシナジー効果で未来のクルマ社会の創造を加速
日産とホンダ、そして新たに加わった三菱は、カーボンニュートラルと電動化、さらに交通事故ゼロ社会に向けた取り組みを加速。各社の知見と強みを武器に未来に向けた価値創造と事業の効率化に動き出した。いままでライバルとして切磋琢磨してきた3社は、今後はパートナーとしてもお互いを尊重する。最後に各社の代表のコメントを紹介しておこう。
日産自動車・代表執行役員 兼 最高経営責任者 内田誠
「ホンダと日産の戦略的なパートナーシップに、新たな仲間を迎え入れることを大変嬉しく思います。三菱は独自の技術や知見を有し、これまでも日産のパートナーとして協業を進めていますが、3社が協業することで本パートナーシップをより大きな価値を生み出すものへと進化させ、お客様の多様なニーズにお応えする各社ならではの商品やサービスの実現が期待されます」
本田技研工業 取締役 代表執行役社長 三部敏宏
「100年に一度といわれる自動車業界の変革期において、日産とホンダがこれまで培ってきた技術や知見の相乗効果に加え、三菱の強みと経験が加わることで、グローバルでの電動化や知能化に関する各種課題がよりスピード感を持って解決され、トップランナーとして社会変革をリードしていけることを期待しています」
三菱自動車 取締役 代表執行役社長 兼 最高経営責任者 加藤隆雄
「日産・ホンダ間で協業検討が進められてきましたが、今回、当社もこの検討の枠組みに参画することとしました。電動化と知能化といった技術革新によって変化が激しい今日の自動車業界において、パートナーとの協業は不可欠です。今回の３社間での検討による協業を通じ、さまざまな分野についても新たな可能性を見出せるものと信じています」
提供元・CAR and DRIVER
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