なぜここまでデカくなれたのか?
チームの調査によると、ヴァスキ・インディカスが生きていた当時のインド亜大陸の密林は平均温度が28℃とかなり暖かい気候になっていたことがわかりました。
ヘビのような変温動物は自らの体温が外部の温度に依存し、暖かいと活発に動けますが、寒いと固まって動けなくなります。
研究主任のデバジット・ダッタ(Debajit Datta)氏は「周囲の平均温度は体サイズにも影響し、温度が高いほど、体の大きなヘビをサポートすることができたでしょう」と説明しました。
それと同時に、当時は彼らに勝る天敵のほか、密猟や生息地の破壊を行う人間もいなかったため、何者にも邪魔されることなく巨大化できたとも指摘されています。
人類にとってはこんな怪物級のヘビが現代にいなくて幸運ですが、一方で、ヴァスキ・インディカスは俊敏に動けるような凶暴な生態はしていなかったようです。
椎骨の特徴を分析したところ、彼らが水中を移動したり、樹上に登ったりすることはほとんどなかったと見られ、現生するアナコンダのように基本的には待ち伏せして獲物を捕まえていた可能性が高いことが示されました。
ダッタ氏らはこのヘビについては「巨大すぎるせいで、動きもかなりノロノロしたものだったろう」と述べています。
またヴァスキ・インディカスが具体的に何を食べていて、どのように繁殖していたのかはわかっていません。
チームは今後、椎骨に含まれる炭素などの成分を分析することで、生前にどんな食生活をしていたのかを明らかにしたいと考えています。
全長25m!シロナガスクジラに匹敵した2億年前の「新種巨大魚竜」を発見!
参考文献
A Gigantic Snake Prowled India’s Jungles 47 Million Years Ago
50-foot ‘king of the serpents’ may have been the biggest snake to ever live
New Species May Be The Largest Snake To Have Ever Lived
元論文
Largest known madtsoiid snake from warm Eocene period of India suggests intercontinental Gondwana dispersal
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。