あらすじ

 スマホで『いじめ』について検索していると声を掛けられる。声の主に視線を移すと、目の前には日常的にいじめを繰り返すいつもの面々が……

『レンタルマーダー~復讐のプロ~』が人気の理由とは?
いじめを繰り返すいつもの面々
(C)加藤屋大悟・どでんちゃん・八重樫ひのめ・チームでんがし屋/シーモアコミックス
(画像=『BCN+R』より 引用)

 主人公の淡路真白(あわじましろ)は18歳の高校3年生。同じクラスの3人に執拗ないじめを受け、クラスメイトも教師も見て見ぬふりをする状態。さらに両親はそれぞれ恋人を作り家を出て行っておりバイトで生活費を稼ぐ辛い毎日だが、大切な妹・雪乃(ゆきの)の笑顔に幸せを見出し日々を送っている。しかし、その大事な妹が突然書置きを残し失踪。いじめの首謀者である猪口マリアが関わっていた。

『レンタルマーダー~復讐のプロ~』が人気の理由とは?
妹が突然書置きを残し失踪
(C)加藤屋大悟・どでんちゃん・八重樫ひのめ・チームでんがし屋/シーモアコミックス
(画像=『BCN+R』より 引用)
『レンタルマーダー~復讐のプロ~』が人気の理由とは?
いじめの首謀者・猪口マリアが関わっていた
(C)加藤屋大悟・どでんちゃん・八重樫ひのめ・チームでんがし屋/シーモアコミックス
(画像=『BCN+R』より 引用)

 意を決した真白は「復讐代行サービス レンタルマーダー」へ、いじめグループの社会的制裁を依頼する。

『レンタルマーダー~復讐のプロ~』が人気の理由とは?
「復讐代行サービス レンタルマーダー」へ
(C)加藤屋大悟・どでんちゃん・八重樫ひのめ・チームでんがし屋/シーモアコミックス
(画像=『BCN+R』より 引用)

レンタルマーダーの人気の秘訣

 この作品、いじめに遭っている主人公が復讐を誓うストーリーではあるが、本人は弱く何もできない。時が戻ったり何か力を手に入れたり、そういった要素もない。代行業者にお願いをするのだが、この業者から派遣されたスタッフの聖花(きよか)が一癖も二癖もある。強引に真白を引っ張っていくのだ。

『レンタルマーダー~復讐のプロ~』が人気の理由とは?
一癖も二癖もある聖花
(C)加藤屋大悟・どでんちゃん・八重樫ひのめ・チームでんがし屋/シーモアコミックス
(画像=『BCN+R』より 引用)

 もちろん、聖花にも何か特別な力があるわけでもない。ブレることのない持論を展開し、真白を動かし、いじめグループと接触し、弱みを探し出し、真白の望みであった社会的制裁を行っていく。

 人気の秘訣は、陰鬱となりがちないじめ問題を「説教くさくなく」共感させてくれるからではないだろうか。

 聖花は現代社会のいじめについて滔々と語るのだが、諭すような言葉ではなく軽い口調で加害者や被害者を軽視する人を非難する。癖のあるキャラクターだからこそ軽い口調に違和感がなく、友達感覚でいじめ問題を語り読者を引き込める。説教臭くならないこの読みやすさが、この作品の人気にもつながっているように思える。

『レンタルマーダー~復讐のプロ~』が人気の理由とは?
友達感覚でいじめ問題を語り読者を引き込む
(C)加藤屋大悟・どでんちゃん・八重樫ひのめ・チームでんがし屋/シーモアコミックス
(画像=『BCN+R』より 引用)

 そして、いじめグループに対する制裁の準備も現代のルールに則った実に現実的な方法で進められていくが、全てが上手くいくわけではなく計画の軌道修正に迫られることもある。そんな紆余曲折もあり、読者である学生が、あるいは社会人が「自分の周りでも、もしかして同じようなことが行われているのでは……?」そんな錯覚に陥りそうなリアルさがある。ファンタジー要素を排除した作品で、この「もしかしたら……」という感情を読者に持たせられたら大成功ではないだろうか。事実、掲載しているコミックシーモアでの人気は高い。

 物語が進むにつれ、どんな手段を使って社会的制裁を果たすのか、計画は成功するのか、真白の成長は、雪乃の行方は。先が楽しみな作品である。(BCN+R コミックランキングリサーチ部)