ギリシャ神話には冥界への入り口を守るとされる恐ろしい三頭の犬、ケルベロスが登場する。現代ではゲームをはじめ創作の世界でよく登場するが、古代でも装飾としてその姿が描かれることが多かった。

 先日、イタリアのジュリアーノで新たに発掘された古代ローマ時代の墓に、新たにケルベロスが描かれていたことが判明。保存状態もきわめて良かったという報告があがり、注目を集めている。

 今回の発見は、考古学者がオプス・インカータムとして知られる古代ローマの建築技法で作られた不自然な壁を発見したことから始まった。この壁は重いスラブで封印された墓の前壁であることが判明。壁の向こうには今から2000年前の古代ローマ時代の墓と共に、見事なフレスコ画が遺されていたことが判明したのである。

 壁画には灰色のケルベロスの他にも、人間の体と馬の脚、魚の尾を持つケンタウロス型の海馬が描かれていた。この海馬は海の神と共に描かれることの多い存在で、海神の子供や海の精霊とされる事が多い。

 今回発見された墳墓は非常に保存状態がよく、古代ローマ以来盗掘等で荒らされたこともなかったと思われている。発掘に携わった研究者の一人は「墳墓の天井と壁にはフレスコ画が完璧な状態で遺されており、神話的なシーンが部屋全体に描かれている」と感動を顕にしていた。

 この墓の壁にケルベロスが描かれた理由としては、さまざまな神話のシーンで墓を飾った以外にも、神話にある冥界の番犬という特徴から死者が甦ってくることを防いだり、死者の眠る場所を守ってもらおうという意図があったのかもしれない。

 考古学者らは、今後もこの墓の研究を進めていく予定とのことだ。

参考:「Unexplained Mysteries」

【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】

文=勝木孝幸(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

提供元・TOCANA

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