1977年4月、日本のトロール船・瑞洋丸(ずいようまる)がニュージーランドのクライストチャーチの東を航行中、網に巨大な生物の死骸がかかった。大きさは実に9メートル、重さはなんと1800キロ。クレーンで吊り上げたところ、長い首に小さな頭、4つの大きな赤い色のヒレ、そして長さ2メートルほどの尾があることが判明。胸腔内には内臓はなく、腸は腐敗していたため失われたものとみられている。腐乱しているとはいえ、その姿は古代の海を泳いでいたプレシオサウルスに酷似していたのだ。

「腐敗した恐竜」を日本の漁師が吊り上げた!? 50年前のUMAニューネッシー騒動とは?
(画像=ニューネッシー(画像は「YouTube」より),『TOCANA』より 引用)

 思わぬ貴重な生物の死体の発見に船上は騒ぎになったが、このまま腐乱死体を積んでいては他の魚に悪影響が出てしまうため、写真やスケッチを残したあと体組織に残っていたひげ等を採取し、謎の死体は海に遺棄されることとなった。

 帰国後、この生物のサンプルや写真は多くの人々の注目を集めた。この生物の肉と脂肪は無傷であったため、アンニオ酸を抽出して調べることができた。横浜大学や東京大学の科学者を含む多くの研究者が正体の特定に挑んだ結果、謎の生物はシーサーペントか、6500万年前に恐竜とともに滅亡した先史時代のプレシオサウルスではないかという結論に至ったのだ。

 この事実は日本中に「プレシオサウルス・ブーム」を巻き起こし、ある海運会社は所有する全ての船にこの死体を回収するよう命じたそうだが、成功しなかったという。そしてこの生物の死体はニューネッシーとして名付けられた。ちなみにこの名前は発見されたニュージーランドにちなんだものであり、新しいネッシーという意味ではない。

「腐敗した恐竜」を日本の漁師が吊り上げた!? 50年前のUMAニューネッシー騒動とは?
(画像=プレシオサウルスのイメージ(画像は「Getty Images」より),『TOCANA』より 引用)

日本国内が湧く一方で、他国の科学者たちは懐疑的だった。スウェーデンの古生物学者、ハンス・クリスチャン・ビェーリング氏は「もし日本人がヒレと皮膚のサンプルを採取したのが本当なら、顕微鏡でそれが何であるか結論づけることができるだろう。もし古代の爬虫類の生き残りだったとしても、彼らが地球上に存在した時代から海洋環境と動物相は劇的に変化しているのだから、プレシオサウルスという見解には疑いの目を向けるべきだろう」と述べていた。また同じく古生物学者のオーヴェ・パーション氏も「プレシオサウルスはもっと大きく、肺呼吸をしています。これまで発見されず隠れていられるとら信じられません」と語っていた。

「腐敗した恐竜」を日本の漁師が吊り上げた!? 50年前のUMAニューネッシー騒動とは?
(画像=ウバザメ(画像は「Getty Images」より),『TOCANA』より 引用)

その後、たんぱく質の組成等を調べた結果、死骸の正体は断定できないものの、ウバザメないしはその近縁種の死体である可能性が高いと結論づけられた。ウバザメは巨大なプランクトン食のサメであり、巨大な頭部下部と背びれ、尾びれのほとんどが失われた結果、プレシオサウルスに似た姿になったのだろうと考えられている。

参考:「Daily Star」

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文=加藤史紀(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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提供元・TOCANA

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